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【MLB】全米中で話題騒然。ミゲル・カブレラ、三冠王なるか? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 対するナ・リーグのMVP争いは、バスター・ポージー(ジャイアンツ)とライアン・ブラウン(ブルワーズ)の一騎打ち、という様相です。

 2010年、ポージーがナ・リーグ新人王に輝いた年に、ジャイアンツは56年ぶりの世界一となりました。そして昨年5月、本塁上での相手選手との激突で重傷を負い、シーズンを棒に振った年は2位。しかし今年復活すると、4番キャッチャーとして攻守に活躍し、地区優勝へと導きました。いかに彼の存在がチームにとって大きいかが分かります。

 さらに8月15日、3番のメルキー・カブレラが薬物違反で50試合の出場停止になるも、ポージーはその穴を埋めようとさらに大爆発。結果、メルキー・カブレラ不在から地区優勝した9月22日まで、なんと25勝9敗でチームを牽引したのです。現在、ポージーの成績は、打率.333(3位)・23本塁打・99打点(5位タイ)。本拠地AT&Tパークでポージーが打席に立つと、『MVPコール』が沸き起こっています。

 キャッチャーでMVP受賞となると、ナ・リーグでは1972年のジョニー・ベンチ(シンシナティ・レッズ)以来。さらに、現在打率1位のミルキー・カブレラが首位打者の権利を辞退したので、もしポージーが首位打者になると、ナ・リーグのキャッチャーとしては1942年のアーニー・ロンバルディ(当時ボストン・ブレーブス)以来、70年ぶりの快挙となります。

 一方、昨年MVPのブラウンは、つらい開幕スタートでした。昨年、ブルワーズを29年ぶりの地区優勝に導いたものの、10月にドーピング検査で陽性反応を示し、禁止薬物使用の疑いで50試合の出場停止処分に問われたのです。その後、異議申し立てが認められて処分は回避できたものの、ブラウンのイメージは地に落ちました。

 ところがブラウンは、周囲の批判を自らの打棒で払拭したのです。昨年の33本塁打や長打率.597など、パワー面で強調される数値をさらに上回り、現在、打率.317(5位)・40本塁打(1位)・108打点(1位)・長打率.598(1位)をマーク。「薬物のおかげで活躍できたのではない」ということを証明したのです。

 ア・リーグ、ナ・リーグともに、シーズン終盤に向けてMVP争いはさらに激化してきました。ミゲル・カブレラ対マイク・トラウト、バスター・ポージー対ライアン・ブラウン――。はたして、どちらがMVPの栄誉を掴み取ることができるのか。そして、カブレラは45年ぶりの三冠王に輝くことができるのか。残り数試合、『MVP』と『三冠王』の行方に、ぜひとも注目してください。


※成績は9月25日時点

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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