【MLB】ダルビッシュ有メジャー初登板。現地評価は真っ二つ

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

6回途中5失点で降板したダルビッシュだったが、打線の援護もあってメジャー初勝利を挙げた6回途中5失点で降板したダルビッシュだったが、打線の援護もあってメジャー初勝利を挙げた まさにダルビッシュも"人の子"ということか――初回に42球を要する大乱調で、ブルペンではフェルドマンが早くも準備を開始するほどだった。ストレート系の球が高く抜けたかと思えば、ショートバウンドもあるなど、ボールは荒れに荒れていた。

「体がすごく勝負にいきたくて、いきたくて。体と精神がアンバランスな状態でした」

 素直な言葉だと思った。立ち上がりは力をいれればいれるほど、ボールはコントロール不能に陥った。キャッチャーが捕球するのに四苦八苦する様は日本時代では考えられないことだったが、その理由は"投げ急ぎ"だ。

 気持ちばかりが前へいき、肝心の投球フォームは軸に体重が乗らず、トップを作る前に投げにいくからボールは制球不能となる。その結果、ストライクをとりにいったボールを痛打された。

 5回3分の2を投げて、110球、8安打、4四球、5失点。 中盤は無失点でまとめ、ダラスの地元紙フォートワース・スター・テレグラムは「勝利に向けてナイスYuターン」と名前にかけて尻上がりに調子を取り戻した投球を評価したが、ダルビッシュ自身、納得のいくボールはほとんどなかっただろう。

「メジャーリーグへ、ようこそ」

 こう表現した地元記者もいたが、初登板の内容はメジャーへの不適応が招いた乱調劇ではない。ダルビッシュの言葉通り、メジャー初登板のはやる気持ちが先行し、体の動きを自身でコントロールできなくなった結果に過ぎない。それは現地で取材にあたっていた野球評論家の槙原寛己氏も同意見であった。

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