【高校野球】早くも始まった2027年ドラフト戦線 埼玉で見つけた190センチ超の大型逸材2人はプロの世界に届くか (3ページ目)
「最初は『タフィ・ローズを目指せ』と言っても、松本は世代ではないので伝わらなくて。ローズ選手の動画を見せて、模倣させてみました。まだまだ粗削りですが、ホームランが出るようになってきています」
山村学園といえば、今季のファーム・リーグ中地区で、高卒新人ながら打率.310を記録して首位打者に輝いた横田蒼和の母校である。
今秋は浦和学院、浦和実らを破って埼玉大会で準優勝。関東大会は初戦で強敵・山梨学院と対戦した。
山梨学院の注目左腕・渡部に対して、松本は立ち上がりから大苦戦する。ストレートにもスライダーにも合わず、1打席目から2打席連続三振。「打てない日は全然打てない」と岡野監督が明かすように、松本のバットが火を噴く気配はなかった。
ところが、中飛を挟んで迎えた第4打席。松本のバットが突如、目を覚ます。
0対1とビハインドの7回裏。二死一、二塁のチャンスで打席に入った松本は、2球連続で空振りし、あっさりと2ストライクに追い込まれる。しかし、続く3球目をとらえると、打球は猛烈な勢いで右翼フェンスに直撃。同点の適時二塁打になった。
まだ自分の間合いでボールを呼び込める場面は少なく、いかにも不器用な打者だと伝わってくる。それでも、この大きな体に宿るパワーは何物にも代えがたい魅力だろう。
試合は直後に勝ち越され、山村学園は1対2で惜敗した。なお、岡野監督によると松本は投手としても進化中で、「ランディ」の愛称で呼ばれているという。かつてMLBで「ビッグユニット」と呼ばれた大型左腕、ランディ・ジョンソン(元ダイヤモンドバックスほか)になぞらえている。
松本もまた、現時点では高校卒業後のプロ入りを志望している。課題は多いものの、ひと冬で別人のように進化しても不思議ではない。
埼玉に出現したふたりの大型選手は、春にどんな姿を見せてくれるのか。高校生には、無限のロマンが眠っている。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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