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【夏の甲子園2026】初球150キロで「球場の雰囲気が変わった」 29年ぶり白星を呼んだ大分商・平田玲翔の底知れぬ才能 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Takahiro Kikuchi

【自信があるのはピッチャー】

 そう語る平田だが、野手としてプロに行く気は毛頭ない。別の取材日に「投打どちらでプロに行きたいですか?」と聞くと、「ピッチャー一本です」と即答だった。

 念のため、「スカウトから野手として評価されても、投手で行きたいですか?」と尋ねても、平田は「ピッチャーです」と答えた。

 なぜそこまで投手にこだわるのか。平田はこんな思いを口にした。

「自信があるのはピッチャーなんで、高いレベルで勝負したいです。マウンドという一番高い場所で、注目されるなかで投げたいんです」

 ただし、投手・平田玲翔が大成するためには、クリアすべき課題も多い。日本文理戦でも試合終盤につかまったように、絶対的な決め球があるわけではない。

 この日はピンチの場面で二塁の中野から「ギアを上げろ!」と声をかけられ、平田は出力を上げてなんとか対処した。

 その一方で、平田にはとっておきの武器がある。日本文理戦で投げた変化球はスライダーとチェンジアップだけだったが、本来の決め球であるスプリットは投げなかった。大分大会で右手中指のマメが潰れた影響もあり、あえて回避したのだ。

 遊撃を守る菅原は、平田のスプリットについてこう証言する。

「スピードがあって、落差もあります。(大分大会準決勝の)明豊戦でもスプリットでたくさん三振を取っていました」

 次戦までに調整が進めば、スプリットも解禁されるだろう。

 そして、身体的にも大きな伸びしろが残されている。高校入学時から身長は5センチ伸び、体重は15キロも増えた。それでも、平田は「まだ身長も少しずつ伸びています」と明かす。

 将来はどんな選手になっていきたいか。そう尋ねると、平田はこう答えた。

「まだまだ完成形は見えないんですけど、世界でもトップレベルのピッチャーを目指していきたいです」

 無尽蔵の可能性を秘めた大器は今夏、自分の理想像にどこまで近づけるのか。次戦は8月13日、英明(香川)との2回戦が予定されている。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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