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【高校野球】選抜優勝の立役者・川本晴大離脱の激震 だからこそ負けられない大阪桐蔭の夏が始まる (2ページ目)

  • 谷上史郎●文 text by Shiro Tanigami

【気づかなかった異変のサイン】

 この日の川本は、西谷浩一監督から取材での受け答えについてアドバイスを受けていたようで、その後も会話は滞りなく進んだ。

「西谷先生には、夏は暑いので球数を少なく投げることをずっと言われています」

「春が終わってから、下半身を使って投げることを意識するようにしています」

 夏への期待が膨らむ話の最後、川本はこう締めくくった。

「選抜でいい投球ができたので、相手も少しは自分のことを意識してくると思います。だからこそ負けないように、相手を圧倒できるような投球をしていきたいです」

 しかし、この時点で、夏の大阪大会で登板できないことは、おそらく本人もわかっていたのだろう。

 ほかにも気になることがあった。前述のとおり、当初は練習試合が予定されていたが、ブルペンには投手の動作解析や球速、回転数などを測定する専門業者のスタッフが来訪。翌日に予定されていた横浜との練習試合と合わせた2日間で、1年生から3年生まで全投手の測定が行なわれる予定だった。

 このため、昨夏前の時点でストレートの回転数では森陽樹(現・オリックス)を、ホップ成分では中野大虎(現・ENEOS)を上回っていた吉岡の最新データや、それこそ川本の現在の数値を確認できるものと楽しみにしていた。ところが、この日はふたりともブルペンに入らず、投球練習は行なわなかった。

 吉岡については、当日のコーチとのやり取りで「明日投げます」と聞き、翌日の試合登板に向けたブルペンで測定を行なう予定だとわかった。しかし川本については、翌日の予定も具体的には語られず、登板や測定の有無を確認することはできなかった。

 さらに言えば、雨がやんだ後、多くの選手がグラウンドでキャッチボールを始め、吉岡も約30メートルの距離で軽くキャッチボールをしていたが、川本の姿はなかった。ただ、この時は川本がいないことを深く気に留めなかった。前日か前々日にブルペンでしっかり投げ込んでいれば、翌日や翌々日を休むことは十分にあり得ると考えていたからだ。

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