【大学野球】ドラフトの超目玉、立命館大・有馬伽久に起きた異変 それでもスカウトが「むしろ評価が上がった」と語る理由 (3ページ目)
みんなが前後の投手のために頑張る、そういう意識のうえで成り立っているんです。そんな環境で、自分が認められない相手や、敬意を持てない相手のために力を尽くせるかと言われたら、難しいでしょう」
「FOR THE TEAM(フォア・ザ・チーム)」──それは今のプロ野球選手に欠かせない心構えであり、有馬がベンチで見せた姿にも通じるものだった。
「昔のプロ野球は大エースが何人もいて、先発完投が当たり前でしたが、時代は急激に変わっています。今は打たれてマウンドを降ろされたから『ダメだ』で終わるような時代じゃない。
初戦の初回4失点は、もちろん褒められた結果ではありません。ただ、その後の有馬くんの振る舞いを見て、私の評価はむしろ上がりました。まだ学生ですから、いい時もあれば、そうでない時もありますよ」
5月27日、最終週の同志社大戦。有馬は3対3の延長11回二死からサヨナラ本塁打を浴びて惜敗したが、その内容は圧巻だった。
5回一死一塁の場面から登板すると、そこから打者21人を連続無安打に抑えた。この日の最速は148キロ。アベレージでも145キロ前後をマークするなど、ストレートで強気に押し込み、相手打線をねじ伏せた。ネット裏のスカウトたちから「春のリーグ戦で最高のピッチング」と評された。
今春は6試合に登板して3勝2敗、防御率2.53。チームも3位に終わり、全日本大学選手権出場は果たせなかった。数字だけを見れば、決して満足のいくシーズンではない。だが、その過程で見せた投球内容や人間的な成長は、大きな収穫だったと言えるだろう。
「世代ナンバーワン左腕」は、今秋のラストシーズン、そして10月のドラフト会議へ向けた確かな足がかりをつかみ、春のリーグ戦を締めくくった。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
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