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【高校野球】「2、3点取ったところで勝てるのか?」 花巻東の怪物・大谷翔平を倒すために盛岡大附が選んだ常識破りの打撃革命 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Genki Taguchi

 北上ゴブリンズに所属していた小学時代から水沢パイレーツの大谷のすごさ、とくに打球の速さと逆方向にも長打を放てるバッティングは、敵ながら嘆息を漏らすほかなかった。

 千田も1年生の春から公式戦でメンバー入りするなど早くも立ち位置をつかんでいたが、大谷はすでに花巻東の4番バッターだった。

 春の県大会初戦で初めて大谷と対峙した監督の関口も、ポテンシャルの高さを実感する。

「まだ体の線は細かったんですが、リーチが長かったんで逆方向にもいい打球を飛ばせますし、空振りも少なかった。1年生の夏の大会でほかの高校相手に投げている試合を見たんですけど、140キロを超えていましたからね。『やっぱりすごいな。順調に育てば3年で150キロは超えてくるだろうな』と」

 春に1対2と惜敗した盛岡大附は、秋の県大会3位決定戦でも花巻東と相まみえた。7回に2番手として登板した「ピッチャー・大谷」と初対戦し、8回に集中打を浴びせて3点をもぎ取っている。

 この時、大谷の最速は143キロ。試合はまたも4対5と落としてしまうが、3学年上の菊池の剛腕を知る関口からすれば、「まだまだついていけるスピードではありました」と攻略の糸口を保てていた。

【大谷翔平を打てないと勝てない】

 盛岡大附にとって、その大谷がいよいよ脅威だと認めざるを得なくなったのが、2年生となった2011年の春である。

 県大会初戦で実現したライバル対決で初めて先発マウンドに立った大谷から、盛岡大附は1点を奪うのがやっとで1対3で敗れた。この試合でスタメン出場した千田は、別次元となっていた大谷を前に絶句した。

「捉えたと思ってもファウルにしかならないっていうか。(左バッターのため)気持ちはライト方向にあるんですけど、打球が全部逆方向なんです。1回、サードに打ち返したような打席があったんですけど、ただ球威に押されてそこに飛んだだけっていう......」

 大谷の成長曲線は、敵であっても目を見張るものがあった。夏に出場した甲子園、花巻東の背番号1としてマウンドに立った大谷は、初戦の帝京戦で150キロを叩き出した。関口が「順調に成長すれば3年には」と目算していた大台に、2年生で到達したのである。

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