地域移行が進む中学の部活動 その陰で置き去りにされる「指導をやりたい教員」と揺れる現場 (3ページ目)
「やりたい先生が、希望する部活動の指導をできていれば、今ほど部活指導が『ブラック』と言われることもなかったのではないかと思います。あとは、指導の労力に見合った手当の問題ですね......」
待遇面を見ると、公立の小中学校教員は、部活動指導は残業扱いになるものの、教職員給与特別措置法(給特法)が適用され、給与月額の4%相当が上乗せされるのみ。実際の労力を考えれば、とても見合っているとは言い難い。ちなみに、土日などの休暇日に行なう部活動の指導や大会の引率については、4時間以上で3600円と定められているのが現状だ。
「それでも部活をやりたい、部活をするために教員になったという先生がいます。彼もそうです」
【部活の指導者になりたくて教員に】
寄友から紹介を受けたのは、合同練習会のきっかけをつくった出雲市立第二中学校野球部の顧問(監督)・錦織輝だ。寄友が「若くて、野球も子どもも大好き。仕事もできて、運営力もある」と絶賛する31歳。その錦織は、「自分は間違いなく、部活動をやりたくて学校の先生になりました」と、澄んだ目でこちらを見つめながら語った
話を聞くと、錦織は野球少年だった中学1年時に病に倒れ、2年間グラウンドから離れることを余儀なくされたという。治療を重ね、中学3年で復帰したものの、高校進学にあたっては周囲から心配の声が相次いだ。それでも本人は「自分には高校野球をやらないという選択肢はなかった」と語り、大社高校へ進学。3年間、野球部の一員として活動した。
その後、大学へ進み教員を志すなかで、「子どもたちと思いきり野球を楽しむ日々」を将来の目標に描くようになり、やがてその場所へとたどり着いた。ところが、まさにその矢先、部活動の地域移行という話が持ち上がった。
「島根県は、外部移行への動きとしてはまだ遅い方だと思いますが、市によってはすでに動き出しているところもあります。そう考えると、やはり部活動は、なくなる方向へ進んでいるのだろうな、と感じてしまうんです。でも、もし本当になくなるとしたら、自分はどうするのか。何のために教員になったのか。そう考えると、これからどうしたらいいのかわからなくなって......」
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