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地域移行が進む中学の部活動 その陰で置き去りにされる「指導をやりたい教員」と揺れる現場 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 たとえば神戸市では、2026年の8月をもって学校での部活動をすべて終了し、地域クラブへ移行する新たな枠組み「KOBE◆KATSU(コベカツ/神戸の地域クラブ活動の呼称)」を早々に発表。子どもたちの希望する部活動の種類なども踏まえ、昨秋の時点で競技・ジャンルを問わず、1000を超えるクラブが登録されているという。

 一方で、外部委託の流れには乗らず、2027年度から従来の部活動を継続・発展させていく方針を打ち出したのが熊本市だ。

 同市のプランでは、たとえば部員数の少ないA中学校の陸上部の生徒が、近隣のB中学校の陸上部と合同で活動できるほか、在籍校に希望する部がない場合には、別の中学校で活動できる「拠点校方式」による部活動の制度を採用。

 教員についても、希望する者のみが指導に携わり、その対価として指導に見合った給与を支払う仕組みとした。さらに市は、外部からの協力も広く募り、指導者の確保にも努めるという。

 神戸や熊本といった財力や活動力のある都市がダイナミックな動きを見せる一方で、少し想像力を働かせれば、人手も予算も余裕のない"ないない尽くし"の多くの自治体が、対応に戸惑っている様子が伝わってくる。

【厳しい待遇面での現実】

 島根県は、中学生の生徒数に対する軟式野球人口の比率が全国でトップクラスで高いという。クラブチームの数も少なく、たとえば出雲市内にある硬式クラブはわずかひとつ。野球をするなら、部活動が当たり前という土地柄だ。しかし今、その当たり前が、当たり前ではなくなろうとしている。

 合同練習会の合間、先生たちに話を向けると、さまざまな意見が聞こえてきた。

「部活の指導がブラックだ、ブラックだと言われますが、『部活をやりたい!』という先生がいるのも確かなんです。少なくとも僕らの周りには、そういう人間がまだまだいます」

 そう語ったのは、出雲市立第二中学校の野球部副顧問を務める寄友亘だ。自身はバレーボールの競技経験者だが、現在は野球部の子どもたちや若手教員を支えながら、充実した日々を送っているという。

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