使命感に押し潰されかけた今川優馬を救った父の言葉 フルスイングでつかんだ涙のドラフト (2ページ目)
【再現性を意識した社会人での変化】
勢いそのままに迎えた第90回都市対抗野球大会(2019年)では、2番打者として驚異的なフルスイングを見せる。準決勝では、東芝の宮川哲(現・ヤクルト)から、逆方向となる右翼スタンドへ先制本塁打。5試合に出場して21打数8安打。チームの都市対抗優勝に大きく貢献し、新人賞にあたる若獅子賞を手にした。
「社会人になってから、逆方向へのホームランを打てるようになった。外中心の攻めに対応しようと思って練習するなかで、いい副産物だった」
大舞台での一発を振り返りながら、打者としての成長をそう語ってくれたことがある。社会人野球で極上のスタートを切った今川は、その年の社会人ベストナイン(外野手部門)にも選出された。
「大学まではホームランに特化したスイングでしたが、社会人では再現性を高めることを意識して練習に取り組みました。そのなかで、自分の理想とする、長打と打率を両立できる打者に近づけたと思います。1年目は、年間を通して3割以上の打率を残せましたし、充実した1年になって、自信にもなりました」
だがドラフト解禁となった2020年は、その打撃が注目される一方で、重圧と戦いながら苦しさも味わった。コロナ禍で練習や大会に多くの制限が設けられるなか、思うような結果が出ない。
「とくに夏場は、精神的にもどん底でした。8月頃は成績も出せず、本当につらかった。自分じゃなくなるくらい、野球が好きじゃなくなるくらいに。それまでは本当に野球が大好きで、ワクワクしながらやっていたんですが、どこかで『プロにならなければいけない』という使命感に変わってしまったような......。周りからも期待されていましたし、その思いに応えなければいけないという気持ちになってしまって、すごく苦しかったです」
大好きだった野球が、嫌いになりかけた。今川は、そんな心の内を打ち明けてくれたことがある。そんな彼を救ってくれたのが、北海道に住む家族だった。
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