ドラフト1位でも安泰ではない現実 智辯和歌山・中谷仁監督が語る「高卒→プロの難しさと進学という選択の意義」 (2ページ目)
そう言って、中谷監督はこう続けた。
「もちろん、プロは入団してからが本当の勝負です。プロに入ること自体が目標なら、すぐにプロ志望届を出してもいい。ただ、そうではないのなら、小園くんの動向を見ながら大学でしっかり力を磨いたほうがいい。4年後に『絶対にドラフト1位で行ってやる』くらいの気持ちで取り組み、この選択が間違っていなかったと思えるような活躍をすればいいんです。『今は小園くんをうらやましく思うかもしれないけれど、大学の4年間は決して遠回りではない』、中西にはそんな話をしました」
【プロ入りの先にある現実】
プロ入りにはタイミングが重要だとも言われる。だが、その時点での本人の能力を指導者が正しく見極め、将来を見据えた進路の方向性を示していくことも、同じくらい重要ではないかと中谷監督は言う。
「高校からプロを志望する背景には、家庭の事情や経済的な理由で進学が難しいケースもあると思います。ただ、仮に高卒でプロに入り、7年ほどで戦力外となって社会に放り出されてしまうと、そこからが本当に大変です。
その後、結婚して20代半ばで子どもができれば、40歳前後にはその子は中学生になります。その時期はなにかとお金がかかる。40歳前後で、どんな職業に就いているのかが、とても重要になってくるんです。もし無職だったら......とか、子どもが高校生になる時期に安定した仕事がなかったとすれば、それこそ大きなリスクになりますよね」
とくに昨年は中西と同世代で、ドラフト1位で高卒からプロに進んだ森木大智(高知高→阪神)と風間球打(明桜高→ソフトバンク)のふたりが4年目で戦力外通告を受けた。
「当時、彼らは本当にすごい投手たちでした。ドラフト1位で指名されれば、マスコミにも大きく取り上げられる。それでも彼らは、前途多難な道だとわかったうえで覚悟を持ってプロ入りを決断したのだと思います。しかし、周囲からは『すごい、すごい』ともてはやされ、気づけば、ひっそりといなくなってしまう......そんな現実もあるんです。今でこそ独立リーグなどの選択肢もありますが、一度ユニホームに袖を通せば、それを脱ぐのは現役引退の時。そういう覚悟を持って臨むのがプロの世界なのだと、あらためて感じます」
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