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【高校野球】来年のドラ1候補が再始動 沖縄尚学・末吉良丞が重圧のなかで見せつけた甲子園優勝左腕の底力 (2ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

 ただ、今夏は沖縄大会、U−18W杯も含め、公式戦だけで13試合に登板。長期遠征での慣れないホテル暮らしも重なり、疲労は徐々に蓄積されていった。さらにはファンからの注目度も増し、気疲れすることも少なくない。

【末吉の状態が一番よくない】

 末吉は投げ込みをしながら体にキレを生んでいくタイプ。「投げ込みでしか体力はつかない」と、昭和の大投手のような信条を掲げ、夏の大会前には1日100球以上の投げ込みを繰り返し、スタミナを養っていった。ただ、U−18W杯が終わり、新チームに合流してから1週間ほどは、肩・ヒジを含む体全体の疲労回復に努めた。

「ストレッチを長めにやったり、少し遅めのジョグに近いランニングを入れたり、体の中から疲労を抜くということをやってきました。そのあとはふつうに全体練習に入って、1日100球とか投げていました」

 この日の試合中も、二枚看板の最速146キロ右腕・新垣有絃(ゆいと/2年)が6回を1安打無失点の好投を見せる脇で、力強いキャッチボールを行なう姿があった。大会期間中だろうが試合中だろうが、左腕を振りながら調整をしていくという姿勢に変わりはない。

 ただ、エースの登板を振り返った比嘉公也監督は、「明らかに抜けて、明らかに引っかけるボールが多すぎます」と手厳しい。

「ここ最近のブルペン投球を見ていると、末吉の状態が一番よくないという感じがしていました。しかしこういう展開なので、力で押し切るしかない、というところに頼らざるを得なかった。そんな感じです」

 比嘉監督自身も1999年春の選抜で優勝を経験した左腕。好不調は手にとるようにわかっているし、聖地のマウンドに上がり続けたあとの疲労感や脱力感は誰よりも熟知している。

「ちょっとマウンドで力んでいるのかもしれません。注目をされたらそうなるのかもしれませんが、自分で乗り越えていかないと次のステップでは通用しません。そこは自分で、頭と心の整理をすることができるピッチャーになってほしいと思います」

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