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【ドラフト】目標は佐々木朗希か、山下舜平大か、達孝太か...揺れる理想が示す大阪桐蔭・森陽樹の未来像 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

【投球フォームもたびたび変化】

 そういえば、大阪桐蔭に入学してからこれまでフォームも細かく変わっていた。ワインドアップ、セットポジション、ノーワインドアップだけでなく、たとえば同じセットポジションでも「この夏はメジャー風に」といった具合に、モーションの入り方や足の上げ方、テイクバックなど、少しずつ変わっていった。

 その都度、理由があってのことだ。

「いろんなピッチャーのフォームに興味があって、ちょっと真似してみるのが好きなんです。でも、やってみて『これはいいな』と思ったらしばらく続けるんですけど、だんだん『思ったほどでもないかな』『もっと違うフォームのほうがいいかな』ってなって、また別のフォームを試してみたくなるんです。フォームを真似たりすることについては器用。でも、飽き性です(笑)」

 まだ本気になりきれていない、自分に何が合っているのかわからないという状況なのだろう。

 大阪桐蔭史上最高クラスの素材である一方、技術面はもちろん、メンタル、さらにはフィジカルの面から見ても、まだまだ有り余る伸びしろを感じさせる。ある時、森の小・中学校時代の思い出話を聞きながら、軽い衝撃を受けたことがあった。

「子どもの頃はとにかく体が弱くて、筋肉も少なかったんです。小学生の頃なんて、本当に腹筋も腕立て伏せもできなかった。特に腹筋は、中学2年の冬くらいになって、ようやく1回、3回、5回......と、少しずつできるようになった感じでした」

 中学の監督からは、「今でこれだけのボールが投げられるなら、体を鍛えたらもっとすごいボールが投げられる」と言われていたそうだが、だからといって安易にパワーをつけることはせず、上体の力に頼って投げることはなかった。

 今も「下半身を使って投げるフォームが自分の持ち味です」と口にするが、その原型は小さい頃から備わっていたのだろう。

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