【ドラフト】「この分野にかけてはピカイチ」 唯一無二の武器でプロ入りを目指す10人の実力者たち (3ページ目)
ロッテで活躍した渡辺俊介氏を父に持つ東大のサブマリン・渡辺向輝 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る 國學院栃木、國學院大とポテンシャルを高く評価されながら、公式戦登板はごくわずかだった「幻の大器」。今年は日本海リーグで実戦登板を経験するなかで、投手として洗練されてきた。晩成型の超逸材が化ける瞬間は、刻一刻と近づいている。
横角度の個性が際立つのは、変則左腕のヴァデルナ・フェルガス(青山学院大)。右足をクロスして踏み込み、左腕を横から振る投球は、左打者に恐怖心を植えつける。適度に荒れるコントロールも、かえってヴァデルナの強みになる。プロのブルペン陣にほしい個性と言えるだろう。左の強打者ほど「やっかいな左腕」と意識せずにはいられないはずだ。
最後に下からの角度を持つ、渡辺向輝(東京大)を紹介したい。父・俊介(元ロッテほか)から二代続くアンダースロー。だが、父から手ほどきを受けたわけではなく、自力でアンダースローの技術を築き上げたことに価値がある。
理系の東大生らしく、アンダースローに関するメカニクスを徹底的に研究。論文を読み漁り、独自の理論を積み上げた。今や大学日本代表候補合宿に招集されるだけの実力者になった。巧みな緩急で打者のタイミングを外す投球は、プロでも通用するのか。渡辺は支配下での指名を希望し、指名漏れの場合はユニホームを脱ぐ予定だという。
プロで勝負するための牙を持つ、10人の個性派たち。彼らのドラフト指名はあるだろうか。10月23日のドラフト会議では、類まれな一芸選手の存在を頭の片隅に入れておいてほしい。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3

















































