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【大学野球】量より質の時代に走り込みを選ぶ男 立教大・小畠一心が見せる昭和の薫りとエースの矜持 (3ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

【マウンドの足跡に見たプロのすごさ】

 今夏、プロとのオープン戦で、楽天の早川隆久、ロッテの唐川侑己といった、プロの一線級で活躍を続ける投手と投げ合う機会に恵まれた。驚いたのは、自身の足跡をゆうに一足超えていく歩幅だ。

「早川さんも唐川さんもめちゃくちゃ広かったですね。その差はなんだろうって思いながらずっと投げていました。柔らかさということがパッと浮かんだんですけど、そんな簡単なものじゃないんですよ。柔らかさのなかにも、強さとか軸足の蹴り方、角度とかもあると思いますし、すべてに差を感じました」

 一流のすごさを足元から感じとることができたのは、大きな収穫だった。最後のリーグ戦を間近に控えてもなお、「僕なんかまだまだ調整できる存在じゃない」と実感。短距離ダッシュやポール間走で自身を極限まで追い込んでいる。

「ランニングは質より量だと思っています。必要以上に走れるだけ走っています。投球のリズムが出るのはランニングだと僕は思っているので、トレーニングももちろん大事ですが、そういうところをおろそかにしてはダメだと思っています」

 量より質を求めがちな「Z世代」の若者において、どこか昭和の薫りがする右腕の原点は、高校時代の3年間にあった。

つづく>>

著者プロフィール

  • 内田勝治

    内田勝治 (うちだ・かつはる)

    1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう

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