【大学野球】量より質の時代に走り込みを選ぶ男 立教大・小畠一心が見せる昭和の薫りとエースの矜持 (2ページ目)
澤田は2013〜2016年の8シーズンで通算69試合、366回1/3を投げ22勝(16敗)を挙げたが、小畠は4年春までの7シーズンで通算38試合、168回を投げ6勝(9敗)止まりと、成績は遠く及ばない。それでもより長くマウンドに立ち続けるため、効率よく力強い球を投げることができるフォームを追求していった。
【コンクリートの上で投げている感じ】
智弁学園(奈良)時代はワインドアップだったが「時間がかかるし、リズムが悪くなる」とセットポジションに変更。一段モーションから二段モーションにしたのも、「打者の手元で強い球を投げる」ための策だ。
「大学に入って体重も7キロぐらい増えたので、フォームも高校時代と比べ大きく変わったと思います。二段モーションでも、止まらないことを意識していて、そのなかでも重心の移動がうまくできるようになりました。もともとその場で投げているイメージで、歩幅も6歩ちょっとだったのですが、大学では重心の移動がよくなったことで、いい時は7歩ほどいきますし、リリースの叩く感じもすごくよくなりました。打者の手元での強さを意識したら、自然とそういうフォームになっていきました」
ただ、歩幅が増えるということは、それだけ下半身にも負荷がかかる。ましてや、硬いマウンドではなおのことだ。プロとアマが併用する神宮は、大学野球をやったあとでもマウンドが荒れないよう、粘土の割合を多くし、他球場と比べてガチガチに仕上げている。小畠も2年春のリーグ戦デビュー時から対応に苦労している。
「本当に硬いですね。コンクリートの上で投げている感じです。軸足の右親指が擦れて、試合の後半はいつも血だらけで投げています(笑)。塗りP(スパイクに直接塗るタイプのP革)も1試合ごとに塗り変えていて、スパイクも1シーズンでダメになります。高校の時は上半身で投げていたので背中が張っていたのですが、大学では下半身が信じられないぐらい張ります」
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