夏の甲子園大会期間中に7球団10人のスカウトが集結 花園大・藤原聡大は「もうドラフト上位じゃないと獲れない」 (3ページ目)
最速155キロを誇る花園大・藤原聡大 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る 藤原が前述した「お腹のフロントが利く」とは、この感覚のことを指す。
ちなみに、藤原の50メートル走のタイムは6秒1。ベテラン指揮官の奥本保昭監督は「もともと水口高校ではショートをやっていたので、身体能力が高く、バネがある」と称賛する。藤原は「高校時代にほかにエースがいたら、今もショートを続けていたと思います」と語るほど、遊撃への愛着も強かった。
なぜ、遊撃が好きだったのか。その理由もまた、独特だった。
「自分が一番好きなのは、配球を読んで『ここにくるやろう』と守備位置を変えて、その正面に打球が来た時ですね。あの瞬間がめっちゃ気持ちよくて、好きでした」
野球人として、人間として、藤原を象徴する思考なのかもしれない。常に先回りして考え、準備し、答え合わせをする。その積み重ねの末に、藤原はプロスカウトを惹きつけるだけの投手に成長した。
【往復3時間の通学で野球に集中】
これまで、花園大からNPBに進んだ選手はいない。藤原は滋賀県甲賀市にある自宅から、片道1時間半かけて電車通学している。だが、藤原は「逆にそれがよかったのかも」と振り返る。
「通学に往復3時間かかる分、簡単に遊びには行けないですし、野球に集中できています。食事など家族に甘えさせてもらっていますし、自分の場合は寮生活より通いでよかったと感じます」
体調を崩した今春は、一時は体重が67キロまで落ち込んだ。今夏にかけてトレーニングを積むなかで、現在は73キロまで戻ってきた。藤原は「リーグ戦開幕までに75キロまで増やしたい」と意気込む。
体重が増えにくい体質で、フィジカル面は今後の課題になるだろう。その一方で、技術や身体操作に人一倍こだわってきたからこそ、今の藤原がある。
「体が大きくないからこそ、自分のなかで『体を使いこなす』ために体と向き合って、理解してきました。自分の感覚を研ぎ澄ますことができているから、今の球速が出ているのだと思います」
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