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【夏の甲子園2025】先発完投時代から投手分業制へ 移行がもたらした選手の出場機会と成長のチャンス (2ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

南北海道大会では登板のなかった北海・松田収司 photo by Matsuhashi Ryuki南北海道大会では登板のなかった北海・松田収司 photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る

【地方大会では登板なしも甲子園で147キロ】

「2年時の甲子園では焦りがありました。だから、あまり覚えてないんです。でも、その時のリベンジしたい気持ちはあったので、今日はできたかなと思います。ストレートのマックスも5キロ更新しました。甲子園の力というか、あの雰囲気を経験できたことが大きかったんだと思います」

 そう語ったのは、東海大熊本星翔戦で北海の4番手としてマウンドに上がった松田収司だ。

 1年秋に公式戦デビューし、北海道大会を制し、神宮大会でも登板。2年春には甲子園でも登板を果たしている。しかし、昨年春の選抜以降は度重なるケガと不調で、この夏は地区大会での登板はなかった。

 それが最後の夏、甲子園という舞台で返り咲いたのだ。試合展開から投手陣が崩れ、そこで長くチームを支えてきた松田にも声がかかった。

「道大会ではみんなの調子がよく、自分はあまりよくなかったので、登板がなかったのは仕方ないと思っていました。今日は、いつも頑張っていたエース・浅水結翔のあとを受けての登板でした。これまで何度も助けてもらっていたので、自分がなんとかしたいと思ってマウンドに上がりました」

 最速147キロを計測した力強いストレートは、1年生で先発デビューを果たした森健成と並び、投手陣のなかでも強く印象に残った。不調からの復活を印象づけると同時に、松田自身にも大きな自信をもたらしたことは間違いない。

 高校卒業後は仙台大に進む予定で、さらなる飛躍を誓う。

「今日の登板で(コツを)つかんだものがありました。この経験を生かして、4年後にはプロに行きたい。育成ではなく、支配下で行けるような投手に成長したいと思っています」

本格的に投手転向して1年で甲子園のマウンド踏んだ東大阪大柏原の古川恵太 photo by Matsuhashi Ryuki本格的に投手転向して1年で甲子園のマウンド踏んだ東大阪大柏原の古川恵太 photo by Matsuhashi Ryukiこの記事に関連する写真を見る

【投手転向1年で甲子園のマウンドへ】

 14年ぶり2度目の出場となった東大阪大柏原は、適材適所の投手起用で王者・大阪桐蔭を破り、大阪大会を制した。

 なかでも、本格的に投手を始めてまだ1年にも満たない古川恵太が、その能力の一端を示した。尽誠学園(香川)戦では2番手として登板。試合は敗れたものの、5回途中から2回1/3を投げ、最速140キロのストレートを武器に2安打無失点と好投した。

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