【高校野球】「日本に来てよかった」甲子園を目指すドミニカ人留学生と森繁和の知られざる育成ストーリー (4ページ目)
この日、捕手のユニオールは悪送球を犯すなど、試合序盤は硬さも見られた。その点について聞くと、ユニオールは「ずっとプレッシャー感じてました」と明かした。
「でも、オレの強さはバッティングだから。考えすぎないで、自分を信じて、最後だから全部信じてやりました」
ユニオールの強い眼差しは、日本人の高校球児とまったく変わらなかった。
(写真左から)台湾人留学生の林軍成、ドミニカ人留学生のリカルド・ペレス、ユニオール・ヌニエス、エミールの4人 photo by Kikuchi Takahiro・プレンサこの記事に関連する写真を見る
【留学生カルテットを形成】
今年から後輩のリカルドが来日し、台湾人留学生の林軍成も幸福の科学学園に進学。いわば「留学生カルテット」が形成されている。棚橋誠一郎監督が「哲学者」と評価するユニオールは、後輩への気配りを忘れない。
「オレたちも日本に来た時は、さみしかった。同じだったから、(後輩たちが)悲しんでる時は応援するし、日本語がまだわからないときは教えています。リカルドも林くんも真面目で、オレたちとは全然違います(笑)。今も一緒に日本語を勉強して、遊んでます」
今後、日本に来るドミニカ人留学生が増えてもらいたいか。そう尋ねると、両者とも「めっちゃ思います」と口を揃えた。そして、エミールの口からは、壮大なスケールの夢が語られた。
「おれ、プロに入って、めっちゃお金もらったら、日本でドミニカのチームをつくりたい。ドミニカには13歳、14歳ですごい球、投げてる人たくさんいます。日本に来たらめっちゃいい選手になって、絶対に甲子園に行きます」
いつか、甲子園でドミニカ人チームが躍動する。そんな未来が訪れるかもしれない。
(文中敬称略)
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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