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【高校野球】「日本に来てよかった」甲子園を目指すドミニカ人留学生と森繁和の知られざる育成ストーリー (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 現在は幸福の科学学園にドミニカ人留学生を紹介しているが、森は「(他校にも)どんどん広げていきたい」と展望を明かした。

「陸上やバスケなんか、海外から留学生が来るシステムがあるでしょう。日本の高校野球でも、ドミニカ人の留学生が増えたっていいんじゃないかな。国同士のつながりも深まるし、日本人がドミニカに行った時にラクになる。だから、少しでも広がっていってくれればなと」

【泣き崩れる高校球児に強いショック】

 試合では、ドミニカ人留学生コンビが大活躍を見せていた。4番・中堅手で出場したエミールは先制の2点適時三塁打を放つなど、3安打4打点。本塁打が出ていれば、サイクル安打を達成する大暴れだった。3番・捕手のユニオールも負けじと2安打2打点。四死球を含め、4回も出塁している。

 試合は幸福の科学学園が9対4で那須清峰に勝利。試合後、エミールとユニオールに森が球場に来ていたことを伝えると、ふたりとも森への思いを口にした。

「森さん、めっちゃいい人だと思います。一昨日も学校に来てくれて、アドバイスくれました。森さんが日本に呼んでくれて、日本に来てよかったです」(エミール)

「森さんはエミールにもオレにもアドバイスしてくれます。森さんからのオポチュニティ(好機)がなかったら、絶対に今はドミニカにいたから。お父さんと野球の練習して、引退してたかもわかんない。日本に来れてよかった。森さんに心から感謝しています」(ユニオール)

 甲子園という絶対的な舞台があり、「負けたら終わり」のプレッシャーと戦う日本の高校野球。ドミニカ人留学生の彼らには、どう映っているのか。

 エミールは来日当初、試合後に泣き崩れる高校球児に強いショックを受けたという。

「ドミニカには夏の大会ないです。日本に来て、大会やって、負けたら泣く。負けたら終わりだってわかりました。その気持ち知ってるから、緊張します」

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