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【高校野球】進路は「プロ一本」 山村学園・横田蒼和はナンバーワン遊撃手の称号を手にできるか? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 どんな思いで走っているのか。そう尋ねると、横田はこう答えた。

「チームとして徹底していることをやって、いいプレーができたら最高の結果につながります。だからまずは自分が全力を見せて、チームを盛り上げたいと思いながら走っています」

 4月29日、県営大宮公園野球場での春季埼玉大会3回戦・花咲徳栄戦は、思わぬ展開になった。山村学園の投手や守備が乱れ、序盤から大量失点を喫する。2対14とワンサイドゲームになり、山村学園は7回コールドで敗れた。

 それでも、横田が試合中に全力疾走を緩めることはなかった。そもそも横田が山村学園に進学したのも、この全力疾走に憧れたからだった。

「兄(修大さん)が山村学園にいて、先輩と後輩が仲良くて、守備位置まで全力疾走する姿を見て、高校野球らしくていいなと思ったんです」

 修大さんが2番・遊撃手として出場した2019年夏、山村学園は埼玉大会決勝戦に進出。春夏通じて初の甲子園まで、あと1勝に迫っていた。しかし、決勝戦の相手は県内屈指の強豪・花咲徳栄。1回表から6失点を喫した山村学園は、2対11で大敗している。この試合を見て、横田は山村学園で野球をすることを決意した。

「徳栄さんにボコボコにやられて、『絶対に倒したい』と思いました。でも、徳栄さんとはこれまでに4回戦って、全部負けてしまっているんですけど。夏はなんとか勝ちたいです」

【課題はミート力の低下】

 高校卒業後の希望進路は、プロ一本に絞っている。昨夏の埼玉大会で冨士大和(大宮東→西武育成1位)、上原堆我(花咲徳栄→オリックス育成3位)と、プロに進んだ好投手から安打を放ったことで自信をつけた。入学当初は71キロだった体重は2年夏までに85キロに増えている。

 その後、体重の増減はないものの、「質」は大きく向上していると横田は語る。

「筋肉測定をしても、数値がだいぶ上がっています。本当はもう少し増やしたいんですけど、今は85キロが適切なのかなと感じます。スピードも上がっていて、30メートル走のタイムは、冬前は4秒5〜6だったのが、今は4秒3に縮まっています」

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