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和歌山南陵バスケ部が起こした奇跡 部員6人でインターハイ出場、「走らないバスケ」で日本一を目指す (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 ところが、過酷な環境で奮闘するバスケ部の姿がメディアで報じられたこともあり、事態は一変する。最終的に目標額を大幅に上回る、763万4000円の支援金が集まった。酒井はこんな実感を口にする。

「うれしいの前にビックリという感情が勝りました。応援していただいているんだなと感じますし、母からも『注目されたからこそ、大会での行動には気をつけるんだよ』と言われています」

  8月4日、和歌山南陵バスケ部は福岡県で開催されたインターハイに臨んだ。初戦の延岡学園戦は接戦の末に75対67で勝利。しかし、翌5日の2回戦は関東大会王者・八王子学園八王子の前に54対96と完敗した。

 今大会はチームとして「全国ベスト8」という目標を掲げていた。だが、それも通過点でしかない。和中監督は決然とした口調でこう語った。

「ウインターカップで日本一になる。その目標にフォーカスしています。インターハイでは、6人で勝つことがどれだけ大変かを経験しないといけない。まだ目標にはほど遠いですが、私としては不可能ではないと感じています」

「走らないバスケ」は頂点を極められるのか。たった6人の挑戦は、冬まで続く。

(つづく)

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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