創価大・立石正広はメジャーを目指す 高校通算10本塁打から大学で強打者へ急成長 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 紅白戦終了後、立石に感想を聞くとこんな答えが返ってきた。

「自分のいる東京新大学リーグは、レベルは低くないんですけど、今回呼ばれたのが自分ひとりだけだったので。ナメられないよう、負けたくない思いがありました」

 東京六大学リーグや東都大学リーグといった名門大学に所属するエリートへの対抗意識があるのか。そう尋ねると、立石は「自分は行きたくても行けなかったので」と意外なことを打ち明けた。

「試合に出られる大学に行って、経験を積んだほうがいいということで創価大に入学しました。そのおかげで、いっぱい試合を経験させてもらいました」

【今春のリーグ戦序盤は大不振】

 山口・高川学園では高校3年夏に甲子園に出場しているが、高校通算10本塁打と飛び抜けた実績はなかった。サク越えホームラン自体、高校3年春になって初めて打ったという。「バットを振ることは好きでした」と語るものの、高校時代の体重は72〜73キロと細く、圧倒するような飛距離はなかった。

 立石のスタイルが大きく変わったのは大学進学後だった。きっかけは「1年生の時に活躍できなかったから」と本人は振り返る。

「どうやって打球を飛ばそうか......と考えて、そこでつまずきました。何かを変えないといけないと思って、『打席のなかで強く振って、ボールに当てる』というスタイルに行き着きました。打球スピードが速ければ、野手のエラーもあるわけですから」

 立石の打撃フォームを見ると、その特異性に誰もが気づくはずだ。

 広くスタンスをとって、低い重心でボールを呼び込む。一瞬で体幹をターンしてバットを振り抜くと、そのフォロースルーは美しい軌跡を描く。日本人のスラッガーというより、メジャーリーガーのスラッガーを想起させる豪快なスイングだ。

 立石は自身の打撃フォームについて、こう語っている。

「あまり重心を動かすと目線がブレるので、その点は意識しています。あとはシンプルに、最低限の力で強い打球を打つことを考えています」

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