独立リーグで研鑽を積むふたりの強肩捕手 町田隼乙&大友宗が語るNPBへの思い (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 だが、日本通運には木南了という社会人日本代表に入ってしまうような名捕手がいた。大友は木南の偉大さをこう語る。

「ひとつひとつの能力は、それほど劣っている感じはしないんです。ボールを遠くに飛ばす力、肩の力、走る力は自分のほうがあったと思います。でも、木南さんは勝負所での一本を出せて、リード面の落ち着きがあって、チーム内の信頼という意味で最後まで超えられませんでした。木南さんと2年間プレーできたのは、本当に勉強になりました」

 企業チームに在籍している以上、NPBドラフト会議での指名は支配下に限られる。大友は出場機会を求め、NPBに進む可能性を少しでも広げるために茨城に入団する。

 故障で離脱した時期もあったが、ここまで23試合でリーグ最多タイの8本塁打をマーク(6月12日時点)。4月20日の栃木ゴールデンブレーブス戦では1試合3本塁打の離れ業を演じている。

 DeNAとの交流戦では、町田に替わって途中からマスクを被った。BCリーグ選抜は3人の捕手を均等に起用するため、大友に与えられた出番は3イニングのみ。回ってきた貴重な1打席は、ユニホームをかすめるデッドボールだった。大友は苦笑しながら、「当たったとアピールするか迷ったんです」と打ち明ける。

 だが、一塁ベースに立った大友は、初球から敢然とスタートを切る。二塁ベース手前からヘッドスライディングで滑り込み、二盗を成功させた。

「もう足でアピールするしかなかったので。インパクトを残すなら、初球にいくしかない。迷わず『アウトになってもいいから、いったろう』と決めていました」

 勢いと将来性の町田、実戦性とスケール感の大友。そんな棲み分けで、BCリーグを代表するふたりはドラフト候補に挙がるだろう。大友は「お互いにドラフトにかかりたいです」と意気込む。

 日本通運という大企業で、サラリーマンとして勤め上げるイメージは持っていなかったのだろうか。そう聞くと、大友はニッコリと笑ってこう答えた。

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