独立リーグで研鑽を積むふたりの強肩捕手 町田隼乙&大友宗が語るNPBへの思い (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 昨季に調査書が届かなかった原因を、町田は「スローイングが悪かった」と自己分析している。今季を迎えるにあたり、町田は自分のスローイング動画を何度も見直した。そして、明確な改善ポイントを見つけたのだった。

「今まではステップする左足が真っすぐに二塁方向に向かずに開いたり、体が突っ込んだりしていました。うまいキャッチャーの動画と照らし合わせて、『ここが違うんだな』とわかりました」

 6月5日、横須賀スタジアムでBCリーグ選抜とDeNAの交流戦が行なわれた。町田は試合前のシートノックから、二塁に向かって伸びていくスローイングを披露した。町田は「勝負できるレベルになってきました」と手応えを深めている。

 打撃面では、DeNAの若手左腕・髙田琢登のストレートを弾き返し、センター後方まで運ぶ大飛球を放った。今季はリーグ戦でも27試合で打率.356、4本塁打、25打点(6月12日時点)と好成績を残している。

「NPBのスカウトは強いストレートをどれだけ弾き返せるかを見ていると聞くので、今日みたいないいピッチャーのストレートを打てるかが大事だと考えています」

 今年に賭ける思いは、当然ながら強い。町田は「金子に負けてられないです」と口元を引き締めた。

日本通運を退社し、今季から茨城アストロプラネッツでプレーする大友宗 photo by Kikuchi Takahiro日本通運を退社し、今季から茨城アストロプラネッツでプレーする大友宗 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る

【不退転の決意で独立リーグに】

 そんな町田が「試合前の準備から人とは違っていて、少しでも技術を吸収したいと思った」と語ったのが、大友宗である。といっても、町田と大友は4歳も年齢差がある。今年で25歳になる大友は、「基本的に今年1年と決めています」と不退転の決意で独立リーグに飛び込んできた。

 帝京大時代から大友のポテンシャルは際立っていた。上級生に好捕手が続いたため、正捕手についたのは4年生になってから。それでも、二塁に向かって低い軌道で伸びていくスローイングは目を引き、類まれな馬力を宿していた。

 大学4年時には3球団から調査書が届いたものの、あえなく指名漏れ。もともと支配下でのドラフト指名がなければ、日本通運に入社する意向を示していた。

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