身長198センチ、静岡の規格外ドラフト候補 知徳高・小船翼は最速150キロの速球を武器に「バッターに恐怖感を与える投球をしたい」 (3ページ目)
小船の評判を聞きつけ、強豪校と対戦する機会も増えている。今春は学法石川(福島)、京都外大西(京都)、大阪桐蔭(大阪)とセンバツに出場した3校と練習試合を戦った。
学法石川戦と京都外大西戦はともに5回1失点と好投したものの、大阪桐蔭戦は7回7失点と苦しんだ。主砲のラマル・ギービン・ラタナヤケの内角にスライダーを投じたところ、ボールが抜けて死球になってしまった。それ以降、センバツ前の相手に気兼ねして、右打者の内角を突けなくなってしまったという。
その代わり、左打者に対しては「抑えられたので、自信になりました」と小船は語る。
「やっぱり普通の高校とは違うので、強いチーム相手に投げるのはプラスになっていると感じます」
今後の課題を聞くと、小船は「股関節周りの柔軟性」を挙げた。もともとは柔らかかったのだが、中学生くらいから股関節周りが硬くなってしまったという。
まだまだ素材段階なのは間違いない。数年後には別人のように進化している可能性は十分にある。
いずれ、どんな投手になることをイメージしているか。そう尋ねると、小船はこう答えた。
「相手を圧倒できるピッチャーになりたいですね。圧倒できれば、それだけでチームに勢いをつけられますから。バッターに恐怖感を与える投球をしたいです」
身長198センチの大器の視線は、まだまだ上を向いている。小船翼が最高峰へと足を踏み入れたその時、野球ファンは今まで見たことのない投手を目撃するのかもしれない。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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