つかみどころのないキャラクターと最速151キロの快速球 報徳学園・今朝丸裕喜から目が離せない! (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 今朝丸本人が「いや、あんまり」と答えていたことを伝えると、徳田は「僕はいいと思うんですけど......」と苦笑した。重ねて「今朝丸くんは投手らしい性格ですか?」と聞くと、徳田は「そういうことですね!」と力強くうなずいた。

 ダブルエースを組む今朝丸と間木とで、徳田はリードするスタイルを使い分けているという。

「今朝丸はいい意味で何も考えていないので、あまりバッターの特徴や攻め方は言わんと声で乗せるようにしています。間木は自分で考えられる選手なので、たまにこちらの想像を超える配球を要求してくることがあります。そのとおりにすると、だいたい抑えられますね」

 最後に大角健二監督にも聞いてみた。まず、今朝丸のキャラクターについて「つかみどころがないように感じたのですが......」と尋ねると、大角監督は「おっしゃるとおりです」と笑った。そして、教え子をフォローするように、こう続けた。

「普段は優しい、いい子なんです。でも、去年まではそれが、そのままマウンドに出てしまっていました。去年はセンバツを経験しても、ダメな時にベンチを見るような仕草もありました。『いい子のままではエースナンバーはやれんぞ!』と注意してきましたが、今日はいい意味で力んでいて、勝ちを意識したピッチングをしてくれました。堂々としていたと思います」

 まだまだ底を見せていないポテンシャルと、つかみどころのないキャラクター。今大会は今朝丸裕喜から目が離せそうにない。

 愛工大名電戦でもファインプレーを連発した堅固な守備陣と、プロ注目のダブルエース。昨年つかめなかったセンバツ王者の座を目指して、報徳学園は快調な一歩目を踏み出した。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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