2024年のドラフト候補が神宮大会で好投 注目の富士大・佐藤柳之介、最大の売りは? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【上位指名でプロに行きたい】

 12月1日から3日間、愛媛県松山市で実施された大学日本代表候補強化合宿に佐藤は初めて招集された。2日目の紅白戦では、自己最速を1キロ更新する148キロが坊っちゃんスタジアムのスコアボードに表示された。

 自身のバント処理のミスもあって1失点を喫したものの、直後のピンチで佐々木泰(青山学院大)から空振り三振を奪うなど3者連続三振。2イニングで4三振を奪い、ウイニングショットはすべてストレートだった。

 実力をアピールした一方で、合宿中に大きな刺激も受けた。来年のドラフトの目玉格になりうる金丸夢斗(関西大3年)とキャッチボールをした際、佐藤は強い衝撃を覚えたという。

「金丸は力感のない腕の振りなのにボールが伸びてきて、最後まで強さがありました。ここまで伸びて、強いボールを受けたのは初めてです。自分も力感なく強いボールを目指していますけど、金丸は一枚も二枚も上手でした。自分はまだまだだなと感じました」

 金丸が「世代ナンバーワン左腕」と騒がれている理由をグラブごしに伝わる感触で思い知った。ただし、大学野球生活は残り1年間も残されているのだ。佐藤は言う。

「同世代から学びながら、上位指名でプロに行きたいですね。プロに行くからには一番になりたいです」

 心強い仲間たちもいる。今回の合宿は富士大からは佐藤だけの参加だったが、野手陣も多士済々だ。全国大会で青山学院大の下村海翔(阪神1位)と常廣羽也斗(広島1位)から本塁打を放った快足外野手・麦谷祐介(大崎中央)、たくましい肉体にエネルギーが詰まった強打の遊撃手・佐々木大輔(一関学院)、バットヘッドをしならせて力強い打球を飛ばす主砲の渡邉悠斗(堀越)、大学屈指のディフェンス能力を誇る正捕手の坂本達也(博多工)。同期に大学JAPAN入りを狙える好素材がひしめいている。

 佐藤は誇らしげにこう語った。

「ウチは個々の力があるので、今年の青学(大学日本代表に青山学院大から5選手が選出)みたいに来年はいっぱい引き連れて代表に来たいですね」

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