中田翔以来の衝撃 大阪桐蔭のスーパー1年生・森陽樹が語る佐々木朗希への憧れと夢 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 1年夏の甲子園初戦では、リリーフで146キロをマークし、その後の打席で左中間へ豪快な一発。「スーパー1年生」のフレーズがあっという間に全国区となった。

 森には、その中田以来の衝撃を受けた。

 近畿大会初戦から1週間後の報徳学園(兵庫)戦では、1点リードの8回から登板。この試合に勝てば、来春のセンバツ大会出場が近づく大事な試合。しかも相手は、今年春のセンバツ準決勝で大阪桐蔭を倒し、秋の兵庫大会で優勝した強豪校。そんな強敵を相手に2回をパーフェクト。4三振を奪う完璧な投球であっさりと試合を終わらせた。

 しかも、この日投げた24球のうち変化球はわずか1球で、最速は初戦と同じ151キロ。第3試合ということもあり終盤には照明が灯ったため、打者の体感速度はさらに上がっていただろうが、明らかに振り遅れての空振り、ストレートに反応できず見逃しがほとんどだった。

 よくスカウトが、選手評のなかで口にするのが「エンジン」というフレーズだ。同じ150キロでも、思いきり体を使って投げたものなのか、それとも軽く投げてマークしたモノなのか。森は言うまでもなく後者。3年後、5年後......体を鍛えていけば今の時代、160キロを想像することも難しくない。

【憧れは佐々木朗希】

 報徳学園戦の試合後、記者に囲まれながら、自分が何者であるのか、聞かれるまま、プロフィールを繰り返し口にしていた。

 宮崎県の軟式出身で全国大会に出場したことがあり、当時の最速は143キロだったこと。高校に入り硬式球の重みが合ってボールが伸びるようになり、6月の練習試合で146キロを記録したこと。変化球はカーブ、カットボール、スプリットで、初戦はカーブを数球、この日はカットボールを1球だけ投げたこと。小学生の頃からテレビで大阪桐蔭の試合を欠かさず見るなど強い憧れを持っていて、声がかかり迷わず進学を決めたこと......。基本情報の確認が続くなか、いくつか尋ねてみた。

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