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元ベイスターズ・高森勇旗が高校時代に設定した「プロ野球選手になるため」の2つのKPI (4ページ目)

  • 高森勇旗●文 text by Takamori Yuki

 これまで述べてきた内容を要約すると以下のようになる。

セカンドスロータイム
目標:1.68秒
現状:1.95秒
ギャップ:0.27秒

 次に、このギャップが生まれる要因を探り当てるために、プロセス全体を数値化する。

目標である1.68秒の内訳
 捕球してからリリースまで0.6秒
 球速130キロのボールを投げた場合は1.08秒

現状の1.97秒の内訳
 捕球してからリリースまで0.8秒
 球速120キロで1.17秒

 このように分解すると、捕球してからリリースまでの時間を0.2秒短縮し、球速をあと10キロ速くすれば目標に到達できることがわかる。

 目標に至るプロセスを分解し、それが数値化されたものをビジネス用語でKPIと呼ぶ。Key Performance Indicatorの略で、日本語では重要業績評価指標と訳されることが多い。高校2年時の私にとってのKPIは、①捕球してからのリリースまでのタイム0.6秒と、②球速130キロの2つである。

 ただし、このKPIはあくまで目標に至るプロセスを分解しただけの数値であり、そのなかにはさらに分解された要素が存在する。

 たとえば、KPI①の0.6秒以内にボールをリリースするためには、「ボールを捕球してから握り替えるまでのスピード」「投げるためのステップを踏むスピード」の2つの要素がある。さらに、ボールを捕球してから握り替えるまでのスピードを分解すると、「ボールをキャッチャーミットの芯で捕球する技術」と「ボールを体の近くまで引き寄せて捕球する技術」になる。

 実際、ここまで分解すると、それらは数値ではなく、数値を向上させるための行動のコツのようなものになる。

 ちなみに、KPIに影響を与える行動のことをビジネス用語ではKSF(Key Success Factor)やKDI(Key Do Indicator)と呼ばれるが、『降伏論 「できない自分」を受け入れる』で言いたいのは、ビジネス用語のことではない。目標へのプロセスを明確にし、実際にどのような行動を起こせばそこに到達するかということまで把握できているかどうかだ。

「お金持ちになりたい」とか「有名になりたい」という漠然とした目標に対して、なんとなく一生懸命頑張るだけでは、それらの目標は永遠に手に入れられない。そもそも、それらは目標と呼ばない。実際にどういう状態になりたいのか、どこにたどりつきたいのかを明確にし、そこに向けて具体的に行動して、初めて成果への道が開かれるのだ。

後編につづく>>


高森勇旗(たかもり・ゆうき)/富山県高岡市生まれ 2006年に高校生ドラフト4位指名を受け、横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。 2012年に戦力外通告を受け、引退。データ[0]アナリスト、ライターを経て、現在はビジネスコーチとして活動中。 著書に『俺たちの「戦力外通告」』(ウェッジ)『降伏論 「できない自分」を受け入れる』(日経BP)。 スカイマークの機内誌にて、『ユウキが行く』を連載中

 降伏論―「できない自分」を受け入れる
★うまくいかない
★結果が出ない
★ついてない

すべてあなたの「決定」の結果である

「心が抵抗すること」をやってみよう。

これまでの人生で起こるはずのなかったことが起こりだす。

普通に生きているだけでは、「パフォーマンスを上げる」「成功する」などは無理だと、著者の高森勇旗さんはいいます。

では、どうしたらできるようになるでしょうか。

それは、これまでの自分の努力をあきらめて、「自分は無能である」ということを徹底的に受け入れることからはじまると言います。

それができたら、半分達成したようなものです。

大切なのは、「いつもやっている行動」をいろんな物理的なしくみで(この本にさまざまな方法が載っています)変えること。

「今日はランニングやめておこうか」と思った時点でランニングシューズに履き替えてみる

何かをはじめようと思ったその時点ですぐに予約をする

など、強制的にやってみると、それまでとは違う人生にひょいっと変わることでしょう。 いつもと違う選択をする”だけ”で、これまでとは違った景色が見ることができます。 希望に満ちた、おもしろい人生を手に入れるために、ぜひこの本を役立ててください。

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