元ベイスターズ・高森勇旗が高校時代に設定した「プロ野球選手になるため」の2つのKPI (2ページ目)
【プロになるための方法を模索】
高校時代、私はプロ野球選手になるにはどうすればいいのかを本気で考えていた。当時のポジションはキャッチャー。専門的な技術が求められるポジションで、しかも高卒でプロ野球選手になるのは至難の業である。
それでも、プロに入るための方法を模索した。まずプロ野球選手になるには、ドラフト会議で指名される必要がある。そして、誰を指名するかを決めるのは最終的には監督やフロントと呼ばれる球団を運営する人たちだが、その候補を全国から探してくる"スカウト"と呼ばれる人がいる。プロ野球選手になれるかどうかのカギを握っているのは、このスカウトに何を見せるかにかかっていると言っても過言ではない。
キャッチャーでプロ野球選手になるために必要なのは、まず肩の強さ、盗塁阻止力である。ランナーが盗塁した時にいかに素早く、強いボールをセカンドベース(以下、セカンド)に投げられるかどうかの能力である。
一塁から二塁までの距離は27.431mある。ランナーはリードをとるので、実際に走る距離はおよそ24mほどだろうか。この距離を、足の速いランナーなら3.3〜3.4秒ほどで移動する。ピッチャーが投球モーションを起こしてから、3.3秒後にはセカンドに到達していることになる。
要するに、このタイムよりも早くキャッチャーがセカンドにボールを転送すれば、ランナーはアウトになる。プロ野球のピッチャーは、投球モーションを起こしてからボールがキャッチャーに到達するまで1.25秒以内を目標としている。そして、キャッチャーが捕球してからセカンドにボールを転送するまでの時間が仮に2.0秒だとしたら、1.25秒+2.0秒=3.25秒となり、どんなに足の速いランナーでもほとんどアウトになる計算である(実際はタッチプレーなども含まれるが、ここではそれは置いておく)。
このキャッチャー側の責任となるタイムは、一般的にセカンドスロータイムと呼ばれ、2.0秒はひとつの基準となっており、2.0秒を切ると高校級、1.9秒を切ると超高校級、1.8秒を切るとプロ級、1.7秒台前半だと超プロ級の扱いとなる。
2 / 4