チャンスを逃して東邦の監督は「ごめん!俺のせいだ」→選手たちに笑い ベンチの雰囲気が窮地を救うファインプレーも生んだ (2ページ目)
そんな中井監督の言葉のように、失敗した時に監督としての度量がわかる。
今年の春のセンバツ7日目。第2試合で東邦(愛知)と高松商業(香川)との名門対決が実現した。
先にチャンスを作ったのは東邦だった。2回表、二塁打を放った四番・石川瑛貴をバントで送って1アウト三塁。ここで東邦の山田祐輔監督が選択したのはスクイズだった。しかし、高松商業バッテリーに外されてランナーがタッチアウト。その後、バッターも三振に倒れた。
先取点のチャンスを逃した場面を、山田監督はこう振り返る。
「ごめん! とベンチで謝りました。『俺のせいだ』と言うと、みんなから笑いが起こりました」
その裏、1点を奪われた東邦だが、ベンチのムードは悪くない。先発した背番号10の山北一颯は相手バッターを打たせて取るピッチングを続けた。すると4回表に3連打で2対1と逆転し、5回にも1点を加えた。
4対1となった7回裏にピンチが訪れた。フォアボールとヒット、送りバントで1アウト二、三塁。続くバッターは三振で打ち取ったものの、九番・佐藤瑞祇の強烈な打球がショートの大島善也を襲う。二塁ランナーの背後で打球を捕った大島だが、送球が乱れて2点を奪われてしまった。
4対3。東邦は8回表、四番・石川瑛貴、五番・岡本昇磨の連打で1点を取り返す。しかし、昨夏の甲子園でベスト8に入った高松商業も負けてはいない。その裏に2アウト、二、三塁と一打同点の場面を作り、六番・山本侑弥の打球は三遊間へ――。その打球を、7回にタイムリーエラーをした大島がスライディングしながら逆シングルで捕り、一塁まで大遠投。絶体絶命のピンチを救った。
2年生ながら名門・東邦のショートを任される大島は、もともとサードを守っていた。コンバートされたばかりということもあって、秋季大会15試合で11個ものエラーを記録している。しかし、「エラーをしたあとは自分でしっかり練習します。何とかしようという気持ちが大島にはある」と山田監督の評価は高い。
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