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大阪大会で登板ゼロ。大阪桐蔭の怪物・関戸康介が高校最後の夏にかける思い

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 明日17日、いよいよ優勝候補の大阪桐蔭が1回戦(東海大菅生戦)に登場する。

 その大阪桐蔭がサヨナラ勝ちで11回目の夏の甲子園を決めた翌日。興国との激闘をカラーページで伝えるスポーツ新聞のなかに、関戸康介にまつわる短い記事を見つけた。

<関戸 登板ないまま>

 太文字の小見出しに続いた15行ほどの記事には、関戸のコメントも載っていた。

「チームの勝利に貢献できず、悔しいというより情けないです」

プロ注目の154キロ右腕、大阪桐蔭の関戸康介プロ注目の154キロ右腕、大阪桐蔭の関戸康介この記事に関連する写真を見る 大会期間中、東京の編集者から連絡があり、大阪桐蔭の話題になると「関戸はどうなっているんですか?」と、必ず話題に上がった。投げていないと伝えると、「故障ですか?」と。

 7試合で一度もマウンドに上がらなかったのだから、「何かあったのでは......?」と思うのも当然だ。

 関戸といえば、ドラフト特集には当然のように登場し、最速154キロが代名詞となった右腕だ。好素材であることは間違いないが、こと公式戦での実績は皆無に等しい。それだけに本人はもがき、そんななかで迎える最後の夏でもある。

 ネット全盛の時代、"怪物"候補が出現すると、小学生や中学生であってもすぐに全国に名が広まる。関戸も長崎県佐世保市で過ごした小学生時代から注目の選手だった。

 今から6年前の12月。宮崎で行なわれた12球団ジュニアトーナメントでホークスジュニアの一員としてプレーする関戸を見た。もともと別の目的があっての大会観戦だったが、小学6年にして130キロ近いボールを投げるとの噂を耳にし、興味が沸いた。

 グラウンドに着くと、ちょうど関戸がリリーフとしてマウンドに上がったところで、打者3人をなんなく抑え、試合にも勝利した。学童野球を見慣れていなかったため、すごさはよくわからなかったが、試合後にチーム関係者を訪ねると、本人と話す機会をつくってくれた。

「今日はあんまり球が走っていない感じでした」

 まずその日の投球を振り返ると、続けて球速の話題になった。すると、関戸は少し困った表情でこう言った。

「スピード表示が出る球場でやったことがないので、自分ではわからないんです。誰かが測ったという話も聞いたことないです。見た感じ(目測)で言われているのかも......」

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