2021.08.16

大注目の風間球打が甲子園で見せた「2つの顔」。150キロの球速だけじゃない魅力

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今夏の甲子園の主役は風間球打なのか----。

 小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、森木大智(高知)とドラフト上位候補の逸材が地方大会で続々と敗れるなか、大会前から話題を独占したのは風間球打(ノースアジア大明桜)だった。

 その素材のよさは、高校時代の佐々木朗希(ロッテ)を引き合いに出すスカウトもいるほど。秋田大会準々決勝で計測した「最速157キロ」という数字も取り沙汰された。

初戦の帯広農戦で完投勝利を挙げたノースアジア大明桜の風間球打初戦の帯広農戦で完投勝利を挙げたノースアジア大明桜の風間球打 この記事に関連する写真を見る  8月15日に帯広農(北北海道)との初戦に先発登板した風間は、9回を投げて被安打7、奪三振10、与四死球2、失点2(自責点2)という内容で完投勝利を挙げた。この日の最速は150キロだった。

 風間にとっては初めての甲子園。そんな大舞台の初戦で、「2つの顔」を見せた。

 ひとつは「クレバーな顔」である。

 8月12日、結果的に4回で降雨ノーゲームとなる試合で風間を見て、違和感を覚えた。秋田大会で見せた、力感抜群の腕の振りが影を潜めていたからだ。

 ステップ幅が狭くなり、腕の振りはおとなしかった。風間はノーゲームが宣告されるまでの4回を無安打に抑えたものの、明らかにセーブして投げていた。

 そう感じたのは私だけではなかったようで、試合後の記者会見では風間に対して「いつもよりステップ幅を縮めて投げていたのでは?」という質問が出た。すると、風間はこのように答えた。

「結構踏み込んで投げるタイプなんですけど、今日はマウンドが滑ったので途中からセットポジションにして、投げやすいフォームで投げました」

 初めての甲子園。バックネット裏には鈴なりのスカウト。アドレナリンが分泌されるには十分な環境のなかで、風間は文字どおり足元を見つめていた。雨でぬかるむマウンドに対応するため、とっさにフォームを変える。言うのは簡単だが、実行するとなるとたやすいことではない。

 仕切り直しとなった15日の試合では、別のクレバーさを見せている。スライダーのコントロールが悪いとみるや、捕手の中井稜貴と相談してフォークを多投したのだ。風間は言う。

「フォークはこれまであまり使ってこなかったんですけど、使ってみたら今日の変化球で一番よかったので。バッターが真っすぐしか待っていないようだったので、フォークで緩急を使っていこうと考えました」