独立リーグ初のドライチ誕生なるか。細川亨監督も快速左腕に「今すぐNPBで投げられる力はある」

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

── これまでの人生で、「モノはいいのに......」と言われ続けてきたんじゃないですか?

 そう尋ねると、石森大誠(たいせい)は何度もうなずいて「おっしゃる通りでございます」とおどけるように答えた。大卒2年目の今季、石森はいよいよ類まれな潜在能力を花開かせようとしている。

独立リーグ初のドラフト1位を目指す火の国サラマンダーズの石森大誠独立リーグ初のドラフト1位を目指す火の国サラマンダーズの石森大誠この記事に関連する写真を見る 2021年のドラフト会議まで3カ月を切ったが、今のところ重複1位指名が確実と言えるほど評価が高まった大物はいない。とはいえ高校生右腕、大学生左腕に有望な逸材がひしめいており、これから突き抜けた存在が現れるのか予断を許さない。

 そんな背景があるなか、春から気になる評判を耳にしていた。それは「独立リーグ初のドラフト1位指名選手が誕生するかもしれない」という噂だった。

 その噂の主こそ、火の国サラマンダーズに所属する石森だった。火の国サラマンダーズとは、今季から発足した国内独立リーグ・九州アジアリーグの熊本球団。母体となったのは、昨年まで日本野球連盟(JABA)に所属した熊本ゴールデンラークス。石森は入社1年目の昨季から頭角を現し、ドラフト解禁となった今季は5月に最速155キロをマークした。

 独立リーグ在籍選手のNPBドラフト最高順位は、2013年中日2位指名の又吉克樹。石森は新たな歴史の1ページをつくれるだけの器なのだろうか。

 7月23日、石森を見るために、県営八代野球場で開催された火の国サラマンダーズ対大分B-リングスの公式戦に足を運んだ。

 石森は開幕から一貫してクローザーを務めており、この日まで21試合に登板。1勝0敗12セーブ、21回1/3を投げて被安打わずか6、奪三振38(奪三振率16.03)、防御率1.69という成績だった。

 火の国サラマンダーズは全体的に投手陣のレベルが高い。この日、先発した宮澤怜士(23歳/東海大札幌)、2番手以降の水野喬日(20歳/湖西高)、西島篤(25歳/長崎国際大)とすべての投手が140キロ台中盤から150キロ台前半をマークした。恐らく独立リーグ屈指の陣容だろう。

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