日本航空石川のドラフト候補は超素材型右腕。コロナ帰省でスケールアップ (3ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Sawai Fumi

 高校野球引退後も毎日グラウンドに来て、厳しい練習を課している。

「甲子園で投げて、スピードはあっても中森(俊介/明石商)くんや高橋(宏斗/中京大中京)くんと比べると、コントロールのレベルが違いすぎると感じました。自分は体が大きくても、まだできていないとよく言われるので、これから鍛えてプロで通用する体をつくっていきたいです」

 後輩が秋季大会中は自ら打撃投手を買って出たり、紅白戦では先発投手に立候補するなど、積極的に実戦経験を積んでいる。中村監督が言う。

「おそらく現役の時(1年〜3年夏)よりも今のほうが意識は高くなっています。走る量も明らかに今のほうが多いです」

 練習後のトレーニングでは、脆いと言われていた下半身を強化し、上のレベルで通用するための体づくりに励んでいる。

「監督に『やっと気づいたな』と言われます」と嘉手苅は照れ笑いを浮かべたが、たとえドラフトで指名されても、もちろんそこがゴールだとは思っていない。

「高校では自分のせいで負けることが多かったので、これからは勝てるピッチャーを目指します。いいピッチャーというのは、調子がいい時も悪い時も自分をコントロールできる。悪い時でも抑えられる──そんなピッチャーが理想です」

 無限の可能性を秘めた大器は、はたしてどんな評価を受けるのか。運命の日が近づいても、いつもと変わらぬ姿で、黙々と汗を流している。

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