2020.10.11

ドラフト注目の福井の怪腕。指揮官
「ゾーンに入ったら打てない」と絶賛

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 敦賀気比の笠島尚樹は、1年夏、2年夏と甲子園のマウンドを経験するなど、県内では無敵の存在だ。そして今年の夏も、やはり負けなかった。

 福井県の独自大会決勝の福井工大福井戦。先発のマウンドに上がった笠島は先頭打者に安打を許したものの、後続の打者を打ち取り無失点で切り抜けた。

 以降も4試合で37得点の相手にまともなバッティングをさせず、内野ゴロの山を築いた。8回に連打を浴びたが、相手の盗塁ミスもあってピンチを脱した。結局8回を投げて4安打無失点。9回にリリーフした松村力が1点を失うも、敦賀気比は3年連続で夏の頂点に立ち、笠島は有終の美を飾った。

1年夏、2年夏と甲子園のマウンドを経験している敦賀気比の笠島尚樹 2年生だった昨年夏、笠島は自己最速となる145キロをマークして一躍注目を浴び、プロのスカウトからも熱視線が注がれるようになった。だが笠島は、凄みのあるボールがあるわけでもなく、179センチ79キロと大きい部類には入らない。そんな笠島の魅力を東哲平監督は次のように語る。

「スピードは最速145キロですが、球威よりもキレやコントロールで勝負するタイプ。ゾーンに入った時のボールは、高校生ではなかなか打てない。まだ細いですが、体ができてくればもっとすごいピッチャーになる可能性は十分にあると思います」

 指揮官が絶賛するストレートは、スピード以上にキレを感じさせる。しかも手元で微妙に動くため、打者にとっては極めて厄介なボールとなる。「肩甲骨から先のしなりで投げられているからだと思います」(笠島)と語るように、特有のヒジの使い方がこのキレを生むのだ。

 昨年秋の北信越大会では、バッテリーを組む御簗龍己(おやな・りゅうき)をはじめ、同年夏の甲子園メンバーが多く残り優勝候補の一角に挙げられていたが、準々決勝で日本航空石川に打ち込まれ、センバツ出場は絶望的となった。

 そこから夏の甲子園だけに目標を定めたが、大会は中止。「かなりショックだった」と語るように、心が折れそうになった時もあったが、寮に残り黙々と練習に励んだ。