2020.10.10

銀行員かプロ野球選手か。
運命のドラフトを待つ大型151キロ右腕

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

ドラフト1位指名候補はこの12人だ!>>

「2年頑張ってダメなら、その後は銀行員として頑張ってくれるか?」

 今から2年前、和田凌芽(わだ・りょうが)は七十七銀行の野球部に入る際、小河義英(おごう・よしひで)監督からそう言われた。そして約束の年となった2020年、和田は違った形で七十七銀行のユニフォームを脱ぐことになるかもしれない。

最速151キロを誇る七十七銀行の和田凌芽 国立の静岡大から入行して2年目の今夏、和田は最速151キロをマークし一躍ドラフト候補となった。そして今、身長184センチの大型右腕はスカウトが見守るなか、都市対抗東北予選で負けられない戦いを続けている。

 野球を始めたのは小学6年生の時。理由は「中学で野球部に入ろうと思ったので慣らしておきたくて」。やや遅いスタートだったが、それまではさまざまなスポーツを遊びながらしていた。

 その甲斐あって、中学で野球部に入部するとメキメキと頭角を現し、盛岡市選抜にも選ばれた。

 高校は文武両道の進学校・盛岡三高に進み、そこでも投手三本柱の一角として3年春には東北大会準優勝。最後の夏も県4強まで進んだ。私立大学からの誘いもあったが、「教員免許が取れて、野球も頑張れるから」と、静岡大への進学を決めた。当初、野球は大学までのつもりで教員志望だった。

 だが、大学4年間で世界が大きく変わった。「選手以上の情熱で野球に接していて、常に上を目指していこうという気持ちにしてくれる存在でした」(和田)と語る高山慎弘監督の存在や、先輩投手たちが社会人に進んだことで、大学卒業後も野球を続けていきたいという気持ちが芽生えた。なにより、同級生の存在も大きかった。

「(2015年に入学の)僕もそうですが、2014年に静岡大が43年ぶりに全日本大学野球選手権に出場したのを見て入った選手が多く、いろんなタイプの好投手がいました。だから、それぞれのいいところを参考にできましたし、限られた練習時間のなかで『今の自分に何が必要か』を考えてすることができました」

 同級生には竹内武司(カナフレックス)、山崎智也(新潟アルビレックスBC)、浮橋遼太(四国銀行)と、和田を含め、大学卒業後も硬式野球を続ける投手が4人もいた。