銀行員かプロ野球選手か。運命のドラフトを待つ大型151キロ右腕 (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 そのなかで最も頭角を現すのが遅かった和田だったが、高山監督はその潜在能力を高く評価していた。

 大学4年春のオープン戦で、対戦相手の福井工業大の投手目当てに複数球団のスカウトが集まっていたのだが、その時、高山監督はブルペンにスカウトを案内して和田の投球を見せた。

 そのピッチングを見たスカウトが七十七銀行の小河監督に和田を紹介。夏にセレクションを受けて、見事合格となった。全国大会の常連校ではなく、そのなかでも実績の少ない和田だったが、将来性を見込んで獲得を決めたという。

「セレクションの時に『変化球を全部真ん中でいいからストライクを取ってほしい』と言ったら、全部ストライクで......。これなら試合をつくれると思いました。まだ筋力もつくと思いましたし、体全体を使えばもっとよくなると感じました」

 そう語った小河監督の期待に応え、今では「なくてはならない存在になりました」と言わしめるまで成長を遂げた。

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 昨年は日本選手権予選で活躍し、本戦出場に貢献。今年はコロナ禍に見舞われたが、自粛期間も地道にトレーニングに励み、さらに力を伸ばした。大学時代、自ら考えて練習してきたことが大きく生きた。

「SNSなどでいろんな投手の動画を見たり、体を開かずに前で腕を振るということを意識したことがハマりました。自分の感覚でも球筋が変わったのがわかりました」

 大型右腕でありながら、前述したように変化球の制球力の高さに定評があったが、そこに馬力が加わり、プロ注目の存在になった。

 近年は地方の国立大出身者でも社会人野球などで活躍したり、NPBにも静岡大の後輩である外野手の奥山皓太が阪神に入団するなど、これまで以上に高いレベルでプレーする選手が増えた。とはいえ、まだまだ"少数"であるだけに、和田は「国立大出身でもやれるということを発信したい」と語る。

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