ヤクルト長谷川宙輝の母校にまた大器。
控え外野手→本格派右腕へ変身 (3ページ目)
身長は175センチの長谷川に対して、松崎は183センチと一回り大きい。それでも松崎の目に、長谷川の存在は大きく、まぶしく映った。
中里監督も選手たちへの「長谷川効果」を認めている。
「身近な存在がプロでも活躍しているわけですから、今の選手たちにとっても刺激になっています」
かつては中里監督がいくら説得しようと「笛吹けど踊らず」だった選手たちも、長谷川という大きな成果が出たことで聞く耳を持って取り組んでくれるようになった。
松崎は最速143キロの速球派右腕として、東京では密かに注目される存在になっている。
今夏の西東京の独自大会は初戦で五商に11対1(5回コールド)、2回戦で明大明治に3対2と連勝し、ベスト16進出をかけて対戦したのは、昨秋ベスト4のシード校・創価だった。
中1日で先発した松崎は、試合前のブルペンから体が重そうだった。
「やべぇ、今日全然ダメだ。キレがねぇ」
捕手の山縣悠孝を相手に、そんな嘆き節が口をつく。もともと腰痛を抱えており、中1日ではダメージが癒えなかった。
立ち上がりにわずか2球で連打され、さらに連続四球を与えて先制を許すと、もう創価の強力打線を止められなかった。初めてのアウトを取るまでに打者1巡を要し、その後も流れを変えられないまま松崎はマウンドを降りた。
最終スコアは0対16の5回コールド。試合後、中里監督に「もう少し戦える気持ちを持って臨んだのでは?」と尋ねると、実感を込めて「ありましたねぇ」と答えた。
「松崎のコントロールが甘かったこともありますが、立ち上がりの連打も打球が飛んだ場所が不運でした。ストレートと変化球を打たれたことで、迷ってしまったのかな......と。普通に投げてくれれば、相手になったのかなと感じます」
松崎は「自分の力のなさに情けないです」とうつむいた。
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