2020.06.06

大阪桐蔭が「無理やろう」から大逆転。
平沼翔太はプレッシャーに負けた

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

こんな対決あったのか!
高校野球レア勝負@甲子園
第6回 2014年夏
平沼翔太(敦賀気比)×香月一也、正随優弥、福田光輝(大阪桐蔭)

 2014年夏、第96回全国高等学校野球選手権大会準決勝。試合前から灰色の雲が立ち込め、今にも雨が降り出しそうな空模様にもかかわらず、大阪桐蔭と敦賀気比という屈指の好カードを見ようと、甲子園には47000人の大観衆が詰めかけていた。

 敦賀気比は、準々決勝までの4試合で62安打を放った強力打線と、2年生エース・平沼翔太(現・日本ハム)の安定感あるピッチングがかみ合い、1回戦から危なげなく勝ち上がってきた。

大阪桐蔭に6回途中12失点と打ち込まれた敦賀気比の2年生エース・平沼翔太 そんな勢いのある敦賀気比を相手に、大阪桐蔭の主将・中村誠(現・日本製鉄かずさマジック)はこんなゲームプランを練っていた。

「とにかく先行されないこと。向こうはとにかく打ってくるし、打線に切れ目がない。それに対して、自分たちは守備でリズムをつくって攻撃につなげてきたので、まずはしっかりリズムをつくっていこうと思っていました」

 ところが、そのゲームプランは試合開始早々から崩れてしまう。

 1回表、敦賀気比は2番打者からの4連打で1点を先制し、なおも満塁から6番・御簗翔(おやな・しょう)が満塁ホームラン。いきなり5点を奪う怒涛の攻撃で、大阪桐蔭の出鼻をくじいた。

 予想もしなかった展開に、大阪桐蔭の中村は絶望感を抱いたという。

「正直『無理やろう』って思いましたね。チームメイトとも『終わりやな』って話していましたから。でも、(1番打者である)自分がまず出塁すればと......そのことばかり考えていました」