高橋光成が甲子園で驚きの進化。淺間大基の横浜に圧勝、優勝を遂げた

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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こんな対決あったのか!
高校野球レア勝負@甲子園
第7回 2013年夏
高橋光成(前橋育英)×淺間大基(横浜)

 これは自慢話なのだが、かつて前橋育英時代の高橋光成(こうな/現・西武)に褒められたことがある。ちょうど高校3年になる時だった。ひとしきり取材を終え、ふと高橋を見ると、ユニフォームに通されたベルトが普通とは逆向きだったのだ。右利きなら、ベルトの先端が左側にくるはずだが、高橋は右側にあった。

夏の甲子園初出場で初優勝の快挙を達成した前橋育英・高橋光成夏の甲子園初出場で初優勝の快挙を達成した前橋育英・高橋光成「そうなんです。気がついてくれた人は初めてです。野球だけじゃなく、日常も含めて、人間の動きは利き手によって偏るじゃないですか。ベルトを逆に回すだけでも、骨盤の歪みが調整できたり、肩こりや腰痛予防になったりすると聞いたので......。去年(2013年)夏の群馬大会前から続けています」

 因果関係は定かじゃないが、少なくともその夏、高橋が急成長を遂げたのは確かだ。

 入学時から期待の右腕として1年夏からベンチ入りを果たした。その時点で最速144キロを叩き出していたが、まだ粗削り。1年秋、2年春と群馬大会を制したが、関東大会では制球力が定まらず、いずれも浦和学院に敗れた。全国レベルの強豪校を相手にするには、まだ技術的にも精神的にも幼さがあった。

 だが高校2年の2013年夏、「勝ち進むごとにぐんぐん調子を上げた」(前橋育英・荒井直樹監督)という高橋は、群馬大会6試合(38イニング)を投げて36個の三振を奪い、失点もわずか6。東農大二との決勝は4安打完封し、最後の打者から奪った三振は148キロをマークするなど、完全に覚醒した。

 かくして前橋育英は、2年生エース・高橋の活躍で初めて夏の甲子園出場を果たした。

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