大阪桐蔭が「無理やろう」から大逆転。平沼翔太はプレッシャーに負けた (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 中村は準々決勝の健大高崎戦でも決勝打となる2ラン本塁打を放っており、打撃の調子は上向いていた。そしてこの試合でも、初回に反撃ののろしとなるソロ本塁打。このキャプテンの一打をきっかけに、大阪桐蔭はこの回3点を返した。中村が振り返る。

「平沼くんはカットボールがいいので、そこをしっかり見極めるようにしていたのですが、実際に打席に立つと『あれっ?』と思うほどボールが走っていませんでした。初回に3点も取れたので、ネガティブな気持ちは完全になくなりました」

 一方の平沼は、中村に本塁打を打たれ明らかに動揺を隠せずにいた。5点の援護をもらってのマウンド。普段なら強気に攻めるはずが、王者・大阪桐蔭のプレッシャーでいつもの投球ができない。

 2回裏にも、二死から中村を四球で歩かせると、2番・峯本匠(現・JFE東日本)に2ランを許し、試合を振り出しに戻された。

 その直後の3回表、御簗がこの日2本目の本塁打となるソロを放って、大阪桐蔭に傾く流れをなんとか引き戻したが、平沼は完全に平常心を失っていた。

 この年の大阪桐蔭は、例年のようにスター選手がいるわけでも、超高校級のスラッガーがいるわけでもなかった。それでも中村を筆頭に、3番・香月一也(現・ロッテ)や4番・正随優弥(現・広島)といった好打者が揃い、派手さはないが試合巧者ぶりが目立つチームだった。事実、初戦の開星戦では4安打に抑えられながらも勝利を収めている。

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