野球界に新たな風。菊池雄星、大谷翔平の
母校が女子硬式野球部を創設

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Sasaki Toru

 新たなモデルケースの誕生だ。

 菊池雄星(マリナーズ)、大谷翔平(エンゼルス)らを輩出した岩手の花巻東高に、東北地区では2校目、県内では初となる女子硬式野球部が誕生する。

「日本一を目指したい」と語る河野瑠生さん(写真左)と田口雛乃さん「日本一を目指したい」と語る河野瑠生さん(写真左)と田口雛乃さん 高校の女子硬式野球部の全国大会は1997年に始まり、翌98年に連盟が発足。全国高校女子硬式野球連盟によると、2019年度末時点での加盟校は32校と、その活動は徐々に広まりを見せている。

「高校で硬式野球がやりたい」

 そんな女子生徒の多くの要望に応えるかたちで、花巻東高女子野球部は立ち上がった。

 創部にあたっては岩手県内に工場を持つトヨタ自動車東日本の多大な協力もあった。車の企画開発から生産まで一貫した取り組みをするなかで、モノづくりを本業としながら、地域と連携した活動、それらを支える地元の人材育成をモットーに掲げるトヨタ自動車東日本。

 つまりは、地元に根ざして地域の活性化に努める企業と、新たな挑戦に挑む高校との思いが合致したことも創部には大きく影響した。3月25日の創部記者会見で、トヨタ自動車東日本(株)経営資源最適化領域長の濱口昌史氏はこう語った。

「トヨタ自動車東日本は、強化スポーツとして硬式野球部、ハンドボール部、セーリング部を設け、社内間の一体感に寄与するとともに、地域と連携しながら活動を行なっています。地元に支えられ、硬式野球部は一昨年(2018年)の都市対抗野球大会に出場しました。また、地元の岩手で開催されるハンドボールの大会では、花巻東高野球部の部員の方々が応援してくださったという縁もあり、今回の運びとなりました。地域密着の活動をさらに求めていきたいと思っています」

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