仙台大にドラ1候補の巨漢右腕。ミットを粉砕しそうな破壊力の剛球だ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 この日の最高球速は146キロ。あるスカウトは「まだ3月ですし、モノのよさはわかっているので。また状態をチェックしたいですね」と語り、球場を後にした。

 それからわずか10日後。慶應義塾大とのオープン戦に登板した宇田川は、別人のような姿を見せた。

 5回を投げて被安打1、奪三振7、失点2(自責点1)。四球は1つもなかった。最高球速は147キロだったが、ロッテ戦とは明らかに指のかかりが違っていた。試合後、宇田川は復調のきっかけをこう語った。

「高校時代にお世話になったトレーナーの方に見てもらって、よかった時のフォームと見比べると、軸足で立った直後に右ヒザが前に出てしまって力が逃げていると教えてもらったんです。それから自分の感覚が戻ってきました」

 慶應義塾大という大学屈指の実力チームが相手でも、宇田川は圧倒した。2回にエラーのランナーを一塁に置いて若林将平(新3年・履正社)に甘く入ったストレートをバックスクリーンに運ばれたが、それ以外は出塁すら許さなかった。冴え渡ったのは決め球のストレート、フォークだけでなく、4回には慶應義塾大の正木智也(新3年・慶応義塾高)、若林と中軸の強打者を縦に割れるカーブで連続三振に斬っている。

 ロッテ二軍戦も慶應義塾大戦も視察に訪れた日本ハムの山田正雄スカウト顧問は、グラウンドを後にする前に満足げにこう語っていた。

「ロッテ戦はよくなかったけど、ここまでよくなるのかと驚きました。ボールが強かったし、走っていたよね。今日はほかにもスカウトが多かったし、もっと評価が上がったでしょうね」

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