阪神ドラ1・西純矢の後継者。創志学園にまたも本格派右腕が現れた (2ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 尊敬する先輩から背番号とグラブを受け継いで臨んだ今秋の県大会。準決勝までの投球は圧巻だった。初戦は打力に定評のあった岡山理大付を相手に6回2/3を投げ3安打無失点(試合は7回コールド)。準々決勝の倉敷工戦では9回を2失点完投、コールドでおかやま山陽を退けた準決勝は7回を無失点でまとめた。大会期間中も西から技術面のアドバイスがあったという。

「(秋の大会で初失点を喫した)準々決勝は真っすぐが上ずってしまって、西さんから『叩きつけるように投げてみろ』というアドバイスをもらいました。そこから指にかかるようになって、狙いどおりに近いボールが投げられるようになりました」

 西はアドバイスとグラブを送った背景をこう語る。

「U-18で星稜の奥川(恭伸)と同部屋になって、『ブルペンで指のかかりが悪いとき、どうやって修正してる?』と聞いてみたんです。すると『ホームベースに叩きつけるように投げてみるといいよ』と練習法を教えてもらったんです。自分が見ていた試合では、三方の真っすぐが高めに浮いていたので、効果があるんじゃないかと思って、伝えました。三方にエースとして頑張ってほしかったので、『よかったら練習とかで使って』とグラブを渡したんですが、公式戦で使うとは思っていなくて(笑)。驚いたんですが、うれしかったですね」

 西の"代名詞"とも呼べるのが、甲子園での奪三振ショーを生んだ縦のスライダーだ。この宝刀を習得すべく、握りやリリースに関して教えを求めたこともあった。三方は言う。

「西さんに『スライダーを教えてください』と聞きました。握りやリリースのイメージを教えてもらったんですが、ちょっと自分には握りが難しくて......(苦笑)。覚えることはできなかったんですが、西さんが繰り返し言っていた『真っすぐと同じ振りで投げるイメージ』を参考に投げています。それまではスライダーを投げるときに手首が寝てしまう癖があったんですが、この意識を持ってからは手首が立つようになって、キレが増したと思います」

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