2019.07.20

山形は逸材の宝庫。「庄内のアナコンダ」は
地元代表の巨漢スラッガー

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 愛称が「アナコンダ」と聞けば、いったいどんな選手なのか見たくなるのは当然だろう。

 酒田南(山形)の4番・ライトを任される伊藤海斗は身長187センチ、体重90キロの巨体である。左打席に狭いスタンスで構えるためか、余計に大きく見える。高校通算36本塁打のうち、公式戦で放った本塁打は9本。豪快に振り抜いたあと、バットが体に巻きつく姿が敵に巻きついて締めあげるアナコンダを連想させたのだろうか。

高校通算36本塁打の酒田南のスラッガー・伊藤海斗 だが、本人に由来を聞いてみると、仮説はもろくも崩れ去った。

「1年のときは打ち方が雑というか、独特だったので、2個上の先輩が『アナコンダ』と呼び始めたのがきっかけです。あと『顔つきが似てる』とも言われます」

 本人は当時の打撃フォームを覚えていないが、クネクネとした動きがヘビを連想させたようだ。顔つきは後づけのように感じられなくもないが、いずれにしてもネーミングセンスに優れた先輩がいたということだろう。

 本来なら、高校生にしてこれほどの巨体なら熊や象などにたとえられそうなもの。それでも伊藤がチームの仲間に交じると突出して大きく見えないのは、エース右腕の渡辺拓海が191センチ、100キロとさらに大きく、ほかにもサイズの大きな選手がひしめいているからだろう。

 酒田南の鈴木剛監督は言う。

「今年の代は渡辺も海斗も、たまたま庄内から体の大きな選手が入ってくれたんです。海と山があるところは体が大きい子が多いのかなと感じます。お米もおいしいから、いくらでも食べられますよ」

 伊藤と鈴木監督はともに山形最北の遊佐(ゆざ)町出身である。庄内は日本有数の米どころだけに、伊藤のたくましい体は米で育まれたのだろう。そう想像して本人に好きな食べ物を聞くと、「麺類です」と即答。見事な肩透かしだった。

 その理由を聞いても、「米よりラーメンのほうが早く食べられますから」と、その独特な感覚はにわかには理解できなかった。

 そんな「庄内のアナコンダ」も、この夏は苦しんでいる。初戦から2試合を終えた段階で8打数1安打2打点。ファーストストライクから積極的にバットを出しているのだが、とらえきれない。