センバツベストナインを選出。
プロの記者たちも唸った最高の選手たち (3ページ目)
堅実な守備でチームに貢献した筑陽学園のセカンド・江原佑哉■田尻賢誉氏
投手/奥川恭伸(星稜)
捕手/山瀬慎之助(星稜)
一塁手/佐藤樹(智弁和歌山)
二塁手/江原佑哉(筑陽学園)
三塁手/石川昂弥(東邦)
遊撃手/大平裕人(札幌第一)
外野手/長畑海飛(龍谷大平安)
外野手/飛倉爽汰(高松商)
外野手/河合佑真(東邦)
「言い訳を最小限にするためです」
これは、「なぜ準備をするのか?」という質問に答えたイチローの言葉だ。結果は自分でコントロールできないが、準備は自分次第でどうにでもなる。たとえ高い技術はなくても、やろうと思えば、自分の意識次第でどれだけでもできるのが準備だ。そこで、準備の意識が高かった選手を選んだ。
投手は星稜・奥川恭伸。攻撃中、自らの打順が近いときはベンチ前のキャッチボールをエルボーガード、フットガードをつけて行っていた。捕手も星稜・山瀬慎之助。先攻だった履正社戦。山瀬は5番打者にもかかわらず、試合前のあいさつでヘルメットをかぶり、エルボーガード、フットガードをつけていた。さらに右足にはレガース(山瀬は右打者)。攻撃でも守備でも準備が遅れないようにしていた。
一塁手は智弁和歌山の佐藤樹。雨の中で行なわれた啓新戦。グラウンドコンディションが悪いなか、内野手のワンバウンド送球を2度すくいあげた。ワンバウント捕球を磨くため、毎日跳ねやすいテニスボールを使って壁当てをやっていた成果だった。二塁手は筑陽学園の江原佑哉。東邦戦で2-6-3の併殺を狙った遊撃手の悪送球、捕手ゴロの捕手の悪送球のいずれも全力でカバーリングに走ってダイレクトでおさえた。
三塁手は、今大会は投手として活躍した石川昴弥。逆球が少なかったのは三塁手のときからしっかりと送球していた結果だ。遊撃手は札幌第一の大平裕人。投手の一塁けん制時、全球二塁ベースにしっかりと入っていたのは大平一人だ。
左翼手は龍谷大平安の長畑海飛。出場は初戦のみだが、走者が三塁にいると投手の投球1球ごとに全球三塁方向にカバーに動いていた。捕手が三塁に投げる構えをしないでも全球やっていたのは長畑だけだ。中堅手は高松商の飛倉爽汰。投手の投球で全球スタートしていた。コースや打者の力を見て、5メートル以上大きく動くこともあった。右翼手は東邦では中堅を守った河合佑真。捕手の一塁送球時など右側のカバーが必要な際、ほかのチームの右翼手と比べ、何十倍も走っていた。
100の準備をして臨機応変に90を削ぎ落した人と、最初からたった10の準備しかしていなかった人とではまるで違う。準備をしていれば、たとえミスをしても後悔は少ない。自分で考え、工夫して準備をする。そんな高校球児が増えてほしい。
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