2018.08.30

大学生にメッタ打ちも「だから面白い」
と答える渡邉勇太朗の大物ぶり

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Nikkan sports

 どんな顔をして引き上げてくるのだろう……と案じていたら、渡邉勇太朗(浦和学院)は意外にもさっぱりとした表情でチームバスの前に現れた。

「残念な結果だったけど……」

 そう声を掛けると「はい、さすが大学のジャパンだなと思いました」と答えて、控えめな笑顔も見せた。

ドラフト上位候補の浦和学院・渡邉勇太朗「『自分の投球をする』というテーマでマウンドに上がりましたが、レベルの差に驚きました。高校生ならバンバン空振りが取れるストライクからボールになる変化球に手を出してくれないので、ボール先行になってしまいました。でもポジティブに考えれば、いい勉強になりました」

 淀みなく言葉が流れた。悔しさ、情けなさも少しは混じっているのだろうが、つい先ほど手痛く打ち込まれた投手とは思えない前向きなコメントだった。

 9月3日に開幕するアジア選手権を控えた高校日本代表が、8月28日に腕試しとして挑んだ大学日本代表との壮行試合。渡邉は0対3とビハインドの4回裏から2番手投手として登板した。

 多くのスカウトが固唾(かたず)を飲み、この190センチの長身右腕を見守っていた。渡邉目当てに神宮球場を訪れたスカウトもいたに違いない。

 今夏の甲子園で全国区の知名度とスカウト陣からの高い評価を獲得したのは、「金農フィーバー」の立役者である吉田輝星(こうせい/金足農)だった。その陰に隠れた感はあったものの、渡邉も甲子園で149キロをマークするなど、確実にスカウト陣からの評価を高めていた。

「マウンドでの立ち姿からして風格がある」
「南埼玉大会とはまるで別人というくらいよくなっていた」
「将来どこまで伸びるのか楽しみ」

 さまざまなスカウト評を聞いたが、なかには「今年の高校生ナンバーワン投手だよ」と断言したスカウトもいた。

 今夏の甲子園で881球を投げた吉田に無理をさせられない現状を考えれば、この高校日本代表で”渡邉株”がさらに高騰することも考えられた。