2018.08.19

指導力と分析力が秀逸。甲子園出場を
果たした中学軟式野球の名将たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ときおり中学軟式野球の世界を取材していると、驚かされることがある。それは指導者の発する熱量が尋常ではないということだ。

 全国的には名前を知られていない監督が、ものすごいアイデアマンで理論家ということも珍しくない。生徒のために熱心に勉強し、野球に情熱を傾ける中学軟式指導者を何人も見てきた。そして、こう思うことも少なくなかった。

「この人なら、高校硬式野球でも結果を残せるんじゃないか?」

高知商を12年ぶりの甲子園へと導いた上田監督 中学野球には中学野球ならではの難しさ、高校野球には高校野球ならではの難しさがある。だが、チームマネジメント力、試合の流れを読む勝負勘は、中学軟式だろうが高校硬式だろうが共通点はあるに違いない。今夏の甲子園大会には、元・中学軟式指導者の監督が3人いた。そのひとり、高知商の上田修身(おさみ)監督は言う。

「開会式では3人で写真を撮りましたよ(笑)。狭間(善徳/明石商)は日体大の3年後輩やし、須江くん(航/仙台育英)は急に監督になって大変だったろうに甲子園に出てすごかったですね」

 上田監督は高知商OB。高校3年生だった1980年春には主将を務め、エース・中西清起(きよおき)らとセンバツ優勝を経験。日本体育大卒業後は高知県の公立中学校で指導者を務め、高知市立城北中の監督時代には藤川球児(阪神)を指導した。

 2015年に長らく低迷していた高知商の監督に就任すると、今夏は高知高、明徳義塾という近年の高知県をリードしてきた両雄を破って12年ぶりに甲子園へと導いた。

 明徳義塾の好投手・市川悠太から14安打10得点を奪った強打線は、甲子園でも火を噴いた。初戦の山梨学院(山梨)戦は1412という壮絶なスコアで勝利。2回戦の慶應義塾(北神奈川)戦も12対6と快勝。3回戦で済美(愛媛)に敗れたものの、名門復活をアピールしただけでなく、「強打」という新たなイメージを全国に植えつけた。

 だが、上田監督は意外な言葉を口にする。

「私は、本当は守りが好きなんです」